実践!相続税対策
事業併用住宅の敷地の評価減【実践!相続税対策】第692号
2025.04.30
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
店舗や事務所、理美容室、医院など、事業所と自宅を併用しているような建物の敷地は、大きな評価減をできる可能性があります(不動産貸付事業を除きます)。
居住用の小規模宅地特例と、事業用の小規模宅地特例を併用できる可能性があるからです。
居住用の小規模宅地特例は、330m2まで土地の評価を80%減額することができます。
事業用の小規模宅地特例は、400m2まで土地の評価を80%減額することができます。
しかもこの2つを同時に適用する場合は、それぞれの限度面積まで、フルに評価減をすることができるのです。
すなわち、最大730m2までの土地を、80%評価減することができる可能性がある、ということになります。
なお、居住用の土地と事業用の土地の地積は、それぞれの床面積の割合によって按分します。
居住用の小規模宅地特例については、何度も書いていますので、その要件は省略させていただきます。
事業用の小規模宅地特例については、2種類あります。
被相続人が行っていた事業を相続後に引き継ぐ場合と、被相続人と生計を一にする相続人が行っていた事業を、継続する場合です。
被相続人が行っていた事業を引き継ぐ場合は、次の要件を満たす必要があります。
・その事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、同日までその事業を営んでいること
・その土地を相続税の申告期限まで保有していること
・その土地の取得者は、事業を引き継ぐ親族であること
生計を一にする相続人が事業を継続する場合は、次の要件を満たす必要があります。
・相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その土地で事業を営んでいること
・その土地を相続税の申告期限まで保有していること
・その土地の取得者は、事業を行っていた生計一親族であること
・その土地や建物を無償で使用していたこと(使用貸借)
被相続人は高齢のことが多いため、生計一親族が事業を継続する場合が多いですね。
生計一は、基本的には同居している、ということです。
1つの建物に同居しており、その建物内に店舗や事務所等があるようなケースです。
このようなケースでは大きな評価減が取れますので、上記要件を満たすよう、確認しておいてください。
特に、親族ではあるけれど事業をしているので、気を使って家賃を払っている、となると、上記最後の要件に合致しなくなりますので、ご注意ください。
また、近年の改正で新たな要件が加わりました。
それは、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供した場合は、適用できないということです。
ただし、土地の評価額に占める減価償却資産(建物など)の割合が15%以上である場合は、適用除外になりませんで、このような場合には確認してみてください。
なお、事業を同族会社でやっているような場合も、同様な評価減の適用があります。
こちらの方の要件は、2022/02/02(第527号)に書いておりますので、バックナンバーをご確認ください。
評価減が大きくなりますので、是非、利用したい特例ですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
GWが始まりました。昨日は久しぶりにプロ野球を見に行きました。なかなかチャンスをものにできない歯がゆい展開でしたが、最後は劇的なサヨナラ勝ちで長時間の観戦の疲れも吹き飛びましたね!
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