不動産 税金相談室
譲渡資産の取得費が不明な場合【不動産・税金相談室】

2025.12.09
Q 20年前、私は相続により土地を取得し、その上に建物を建築して住んでいました。
本年、転勤のためその自宅を売却しました。相続により取得した土地の取得費は不明ですが、建物については工事請負契約書を保管しているため、金額がわかります。
居住用の3,000万円特別控除は適用できると思いますが、当該特例を適用しても譲渡所得は0円になりません。したがって、取得費や譲渡費用がいくらになるかが重要だと思います。
この場合、取得費はどのように計算すればよいでしょうか。
また、譲渡費用にはどのようなものが含まれますか。
A 取得費が不明な場合は、売買代金の5%を取得費として計算することができます。これを概算取得費といいます。
ただ、今回の場合は、建物の取得費がわかっているため、取得費は次のように計算します。
●土地の売買代金×5%+建物取得費(工事請負金額等)- 償却費相当額
土地の取得費がわからない場合でも、建物については取得費がわかっている場合は、建物については概算取得費を使わず、工事請負金額などを基に取得費を計算することができます。
なお、売却時の売買契約書に土地建物の売買代金が、合計で記載されているときは、次のように土地建物の売買代金を区分計算することができます。
まず、売買契約書に消費税の金額が記載されている場合には、その消費税の金額を消費税率10%で割り戻すことにより、建物の売買代金を計算することができます。
その上で、売買代金総額から建物の売買代金を差し引くことによって、土地の売買代金を計算することができます。
一方、売買契約書に消費税の金額が記載されていない場合は、売買代金総額を、固定資産税の課税明細書に記載されている土地および建物の評価額を基に按分することにより、それぞれの売買代金を計算することができます。
なお、譲渡費用は売却するために直接かかった費用で、主なものは次のとおりです。
・土地や建物を売るために支払った仲介手数料
・印紙税で売主が負担したもの
・土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取り壊し費用など
・土地を売るために支払った測量費用 等
譲渡費用に含めるものの中には、判断が難しいものもあります。もし迷われましたら、税理士に相談してください。
≪担当:税務部 奥山 裕都≫
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