不動産 税金相談室
店舗併用住宅における住宅ローン控除【不動産・税金相談室】
2025.07.22
Q 現在、住宅ローンを組んで店舗併用住宅の取得を検討していますが、住宅ローン控除の特例を受けるための留意点について教えてください。
A 住宅ローン控除は、自ら居住する住宅に対しての税務上の特例ですから、居住の対象ではない「店舗」を含む店舗併用住宅では注意が必要です。
住宅ローン控除の計算では、居住用部分と店舗部分とを按分して、居住用部分についてのみ、特例の対象としなければならないためです。
ただし、居住用部分がおおむね90%以上である場合には、全体を居住用として取り扱うことが認められていますので、店舗との按分計算をすることなく、全て住宅ローン控除の対象となります。
このように、居住用部分と店舗部分の面積(割合)が重要となるのですが、特にご注意いただきたいことは、居住用部分が50%以上なければ、住宅ローン控除の対象から外れてしまうことです。
これは、一部が認められないのではなく、その建物全てが住宅ローン控除の対象外として取り扱われてしまうため、住宅ローン控除をまったく受けられないということになります。
住宅取得の際には、建物の設計や間取り、住宅ローンの申込みなどが優先となりがちですが、住宅ローン控除など税務上の検討を後回しにしてしまうと、せっかくの特例が適用できないケースもありますから、くれぐれもご注意ください。
さて、住宅ローン控除の対象となる建物は、床面積50平米以上(一定の条件を満たす場合には40平米以上)とされていますが、この判定においては居住用部分と店舗部分とを分ける必要はありません。
たとえば、建物全体の床面積が90平米あり、そのうち居住用部分が48平米である場合、居住用部分(48平米)で判定するのではなく、店舗部分も含めた建物全体(90平米)で判定することになります。
つまり、この場合には床面積90平米であり、かつ、居住用部分が50%以上であるとして、住宅ローン控除の要件に当てはまるわけです。
なお、金融機関によって取り扱いは異なりますが、住宅ローンを組む際の利用条件として、居住用部分が50%以上であることを定めているケースが多いようです。
税務上の観点からだけでなく、住宅ローンの条件という点からしても、店舗併用住宅は注意する点が多いですね。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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