不動産 税金相談室
居住用と事業用の小規模宅地特例の併用【不動産・税金相談室】
2025.05.20
Q 父の土地には自宅と店舗があり、店舗は長男である私が経営しております。相続がおきた場合には、土地の減額が受けられる特例があると聞いています。
ただ、面積要件もあるとのことですが、父の土地の場合はどのくらいまで減額が受けられるのでしょうか。
土地は全体で600m2ほどあり、自宅と店舗で概ね半分ずつ利用しています。父とは同居しており、店舗は私が建て、そこで飲食店を開いています。この土地については、すべて私が相続する予定です。
A ご質問の土地の減額とは、小規模宅地等の特例のことかと存じます。小規模宅地等の特例には、大きく以下の4つの利用区分があります。
1. 特定居住用宅地(被相続人等の居住の用に供されていた宅地)
2. 特定事業用宅地(被相続人や生計一親族の事業の用に供されていた宅地)
3. 特定同族会社事業用宅地(一定の法人の事業の用に供されていた宅地)
4. 貸付事業用宅地(被相続人や生計一親族の貸付事業の用に供されていた宅地)
これら利用区分によって、適用限度面積や減額割合が異なってきます。
1. 特定居住用宅地である場合は、限度面積330m2まで80%減額されます。
2. 特定事業用宅地と3.特定同族会社事業用宅地である場合には、限度面積400m2まで80%減額されます。
4.貸付事業用宅地である場合は、限度面積200m2まで50%減額されます。
いずれも、一定の要件を満たすことが前提です。
ご質問の場合は、上記「1.特定居住用宅地」と「2.特定事業用宅地」に該当するものと思われます。
この2つのみ小規模宅地の特例を適用する場合は、それぞれ限度面積までフルに適用することが可能です。
全体の土地600m2のうち、特定居住用宅地と特定事業用宅地が概ね半分ずつとのことで、それぞれ300m2とします。
特定居住用宅地は330m2までが限度となりますが、300m2<330m2であるため、すべてにおいて特定居住用の小規模宅地等の特例が適用可能です。
また、特定事業用宅地は400m2までが限度となりますが、300m2<400m2あるため、こちらもすべてにおいて特定事業用の小規模宅地等の特例が適用可能となります。
その結果、600m2すべてにおいて80%の減額が可能となります。
なお、今回のご質問には該当しませんが、「4.貸付事業用宅地」とその他の小規模宅地等の特例を併用する場合には、それぞれ200m2に換算した上で、特例適用が200m2までとなるため、按分計算が必要となります。
《担当:税理士 宮田 雅世》
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