実践!事業承継・自社株対策
一般措置の事業承継税制【実践!事業承継・自社株対策】第277号

2025.11.27
Q:私は自分の子どもに事業を承継させたいと考えています。
ただ、子どもに代表取締役を任せるには、まだ若く、せめてあと10年は様子をみたい状況です。
しかし、事業承継税制の適用期限が令和9年に迫っており、相続税を考えると、とりあえず贈与して特例を適用しようかとも思いますが、いかがでしょうか。
A:自社株式の評価が非常に高く、相続税が高いというお悩みは、よくうかがいます。
ただ、あまりにも税金のみに集中しすぎますと、事業そのものに支障をきたす可能性がございます。
ご存じのとおり、事業承継税制を適用するには、代表取締役を変更する必要があります。
この場合、取引先にご挨拶やご子息の紹介をする必要が出てくるのではないでしょうか。
また、当然株式も贈与することになることから、ご相談者様が納得できないことが、株主総会で決定してしまえば、それを止める手段はありません。
事業承継税制を利用した株式の承継は、贈与税や相続税を抑えることはできますが、これを適用することで今まで行われていた事業を、不安な状態で次世代に渡すことは避けた方がよいかと思います。
そして、令和9年に終了する事業承継税制は、『特例』の方であり、『一般』については、それ以降も適用することは可能です。
一般の場合、総株式数の最大3分の2まで、相続の時は80%、贈与の時は100%納税が猶予されます。
特例の場合は、確かにすべての株式について100%納税が猶予されますが、一般の場合でも大きな節税が見込めます。
まだ、承継にはお時間がありそうですので、事業承継税制の適用ができない3分の1部分について、少しずつ贈与をしたり、株価を下げる研究をされてもよいかもしれません。
なお、特例が終了した後に、一般についても要件等が緩和される可能性もあります。269号もあわせてご参考ください。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
来年の税制改正に向け、各所から要望があがっています。物価高に関係して、控除などの増額や、インボイスの猶予期間が延長される可能性もあるようです。
会社が成長しやすいような制度になるといいのですが。
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