東京メトロポリタン税理士法人

お問い合わせ

〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-24-1 西新宿三井ビルディング17F

  1. HOME
  2. メールマガジン
  3. 実践!相続税対策
  4. 建て替え中のアパートの敷地の評価減【実践!相続税対策】第719号

実践!相続税対策

建て替え中のアパートの敷地の評価減【実践!相続税対策】第719号

建て替え中のアパートの敷地の評価減【実践!相続税対策】第719号

2025.11.05

おはようございます。
税理士の北岡修一です。

先日、建物の建替え中に亡くなった方の相続人からの相談を受けました。

亡くなった時には、建替え中ですから建物はなかったことになります。

ただし、建替え工事が行われているわけですから、建築請負契約はあり、工事の着手金も支払われています。

この相続税評価については、2024/11/20(第670号)の『建築中の建物の相続税評価額ってどうなるの?』にて解説しておりますので、そちらをご参照ください。

今回は、その建物がアパートであった場合、建物があれば、貸家建付地評価(約20%評価減)ができ、さらに小規模宅地の評価減(最大200m2まで50%評価減)ができますが、それがどうなるのか、についてお話しします。

アパートの建替え中に相続が発生して、上記の評価減ができなくなると、相続税額が上がってしまいますので、注意しておく必要があります。

まず、貸家建付地評価ですが、原則的には建物がなく、賃貸をしていないわけですから、土地は自用地評価となります。

ただし、次の要件を満たしていれば貸家建付地評価がでできる可能性があります。(平成7年11月14日裁決事例参照)

1.旧建物の賃借人が引き続いて新建物に入居することとなっている。
2.立退料の支払がない
3.あるいは新築中の建物について、権利金(敷金等)の授受が完了し賃貸借契約が成立している場合

旧建物を取壊して、新しい建物ができるまでには、相当時間がかかりますから、上記条件はなかなか厳しいのかなと思いますね。

次に、貸付事業用の小規模宅地の評価減ですが、こちらは事業を継続しているかどうか、ということになりますから、上記とはかなり違ってきます。

小規模宅地の評価減ができるかどうかは、次によります。
(措置法通達69の4-5参照)

1.被相続人等(生計一親族を含む)の貸付事業の用に供していた建物の建替えであること。
2.被相続人または被相続人の親族の所有の建物であること。
3.被相続人と生計を一にしていた親族、または、その建物や敷地を相続した親族が、相続税の申告期限までに貸付事業の用に供していること。

ただし、申告期限までに貸付事業の用に供していない場合であっても、建物の規模等からみて、建築に相当の期間を要することである場合などは、

その建物の完成後、速やかに事業の用に供することが確実であると認められるのであれば、小規模宅地の評価減の適用を受けることができます。

なかなか、難しい判断ではありますが、相続が近いと思われるときの建替えは、十分注意する必要がありますね。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

ご相談を受けた方は、以前に祖父母が住んでいた建物を、父親が相続して空き家になっていたものを建替えてアパートにするものでした。

したがって、賃貸事業をしていた建物の建て替えではないため、貸家建付地評価などはできない、という結論でした。

メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
https://www.mag2.com/m/0001306693.html

相続のご相談はお問合せフォームへ

東京メトロポリタン相続クラブ

<< 実践!相続税対策 記事一覧