実践!事業承継・自社株対策
株式の生前贈与を受ける方法【実践!事業承継・自社株対策】第265号
2025.09.05
Q:父が創業した会社を引き継いでいく予定です。
父が持つ株式は、相続で引き継ぐ予定ですが、母も同社の株式を、評価額で2,000万円程度持っています。
母はもうすぐ80歳になり、株価も毎年上がることから、できれば早めに生前贈与を受けたいと思います。
母もそれなりに財産を持っていますが、税金的にはどのような贈与方法が良いでしょうか?
A:税務上、贈与の方法には暦年贈与と相続時精算課税贈与の2つがあります。
暦年贈与は、年間110万円の基礎控除があり、それ以内であれば、贈与税はかかりません。したがって、毎年110万円以内で贈与をしていく方法があります。
ただし、相続開始前7年内に行われた贈与は、相続財産に加算しなければなりません。せっかく贈与で無税で株式を移しても、相続前7年内の贈与には相続税がかかってくるのです。
相続時精算課税贈与の場合は、一定の要件を満たせば、2,500万円まで贈与税はかからずに、贈与することができます。
ただし、読んで字のごとく、その贈与を受けた財産は、贈与者の相続があったときに相続財産に加算して、相続税で精算することになります。
お母様が所有する株式の評価額は、2,000万円程度ということですので、相続時精算課税贈与で、一気に贈与税なしで贈与することも可能です。
ただ、相続時精算課税にも令和6年より110万円の基礎控除ができました。
この110万円の基礎控除は、2,500万円の計算の中に含めずに、無税で贈与を受けることができます。
さらに、相続時には相続財産に加算する必要もありません。
したがって、この相続時精算課税の110万円の無税枠を有効に使うことも考えられます。
たとえば、お母様から10年で贈与を受けるとすると、初年度に1,010万円分の株式の贈与を受け、残りの9年間で110万円分の株式の贈与を受けていく、という方法です。
1,010万円+110万円×9年=2,000万円
こうすれば、相続時に加算される額は、初年度の1,010万円から110万円を引いた900万円分だけとなります。
毎年の基礎控除110万円分は、相続財産に加算されないからです。
実際には株価も変動しますので、上記のようにきれいにはならないかと思いますが、検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
いよいよ9月に入りましたね。学校も始まり久々にランドセルを背負った元気な子どもたちを朝見かけ、こちらも元気をもらっています。
最近は母校の大学に来ることも多いのですが、大学の方はまだ、ほとんど学生がいないですね。大学は9月20日くらいまで休みだからです。いいですね、大学生は休みが長くて!
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