実践!相続税対策
暦年贈与のパワー【実践!相続税対策】第374号
2019.02.20
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
確定申告の提出が始まりました。
相続クラブやこのようなメルマガをやって、ホームページに載せていることもあり、問合せや質問が今年は非常に多くなっていますね。
大変ではありますが、とても嬉しいことですね。
皆様方からも、何かご質問等あれば、お気軽にお問合せいただければと思います。
では、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
暦年贈与のパワー
確定申告の時期です。
所得税の確定申告はもちろん、贈与に関する申告もこの時期にやることになります。
贈与の申告は、住宅取得資金の非課税を使ったり、相続時精算課税を使ったりする場合、大きな額の特例ですので、不備がないよう、かなり気を使いますね。
その点、暦年贈与は、贈与した額から、110万円を控除して、残額に税率をかけて申告書を作成するだけですから、添付書類も現金贈与でしたらほぼなく、気楽?に申告できますね。
それでいて、暦年贈与は結構なパワーがあります。
暦年贈与は、110万円までは非課税、110万円を超えたら310万円までの200万円については、10%、さらに310万円を超えて510万円までの200万円については、15%の税率となっています。
これは20歳以上の子や孫に対する贈与の場合です。
(他の贈与は、若干税率が高くなっています)
そうなると、310万円を贈与した場合は、
(310万円-110万円)×10% = 20万円(310万円に対して6.45%)
510万円を贈与した場合は、
上記20万円+(510万円-310万円)×15%=50万円
(500万円に対して9.8%)
となります。
510万円まででしたら、10%以下の税率で贈与できる、ということですね。
財産が多い方に対する相続税率と比べてみると、かなり低いのではないでしょうか。
暦年贈与のパワーを感じるのは、これを毎年繰り返していった場合です。
毎年、310万円の贈与を10年間していけば、3,100万円の財産を、200万円の税金で移すことができます。
200万円が高いと感じるかどうかは、人によるかと思いますが、10年の合計でそうなるということで、毎年の20万円でしたら、大した負担感はないのでは? と思います。
さらに、これをたとえば子が3人いれば、9,300万円もの財産を、税率6.45%で移していくことができる、ということです。
さらに、孫にも贈与していくことが考えられます。
先ほど、20歳以上の子や孫の場合は税率が低い、と書きましたが、310万円の贈与の場合は、同じ最低税率の10%ですので、変わりありません。
現金をそんなに贈与していくのがいいのか、というと、確かに問題もあると思います。老後になって、お金がなくなってしまっては、本末転倒ですので。
私が、暦年贈与のパワーを感じるのは、たとえば同族株式などを贈与していった場合です。
昨今、事業承継税制で贈与税がかからず贈与することもできますが、様々な条件と、贈与をした後の毎年の届出、会社が継続しなくなった場合のリスクなど、贈与しただけで終わらない問題があります。
暦年贈与であれば、贈与したらそれで終わりですので、明確な区切りがつくのがいいですね。
特に同族株式の評価が上がっていく場合は、早め早めに贈与を少しずつしていくと、時間がたつと結構な株式数を移動していくことができています。
時間の力、人数の力は、あなどれないなと思います。
また、ある方は等価交換で区分所有のマンションを何部屋も持っていましたが、子ども達に毎年少しずつ贈与していったら、10年も経つとほぼ移すことができました。
それなりの贈与税も払ってきましたが、マンションの賃貸収入も含め子どもたちに移すことができたので、所得税・相続税含めかなりの節税効果があったのではと思います。
贈与というと様々な特例の活用が考えられますが、シンプルに110万円の暦年贈与を、長い時間をかけてやっていく、ということも改めて考え直してみるとよいと思います。
編集後記
昨日は私どもが主催している、東京メトロポリタンビジネス倶楽部の講演会を行いました。
農業総合研究所の及川社長にご講演いただきましたが、ものすごいパワーのある講演で、ビジネス内容もすばらしく、大変感動しました。農業ベンチャー初の上場企業です。
生産者が直接スーパーで売る流通のしくみを作ったことで、日本の農業も大きく変わっていくかも知れません。様々なスーパーに、
「農家の直売所」というようなコーナーがありましたら、その会社が関わっていると思います。是非、スーパーに行ったら見てください。
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