実践!事業承継・自社株対策
非上場株式の評価方式見直しの方向性(2)【実践!事業承継・自社株対策】第315号

2026.08.27
Q:前回のメルマガで、新たな評価方式として有力な「残余利益方式」のイメージが「簿価純資産 ± 数年分の超過収益」になると伺いました。
この計算式の具体的な中身について、もう少し詳しく教えてもらえますか?
A:有識者会議の資料に基づき、残余利益方式の基本計算式である『簿価純資産 ± 数年分の超過収益』の詳細な内訳と意味について解説します。
この計算式による評価額は、「(1)企業の保有資産」と「(2)企業の収益獲得能力」の2つの要素から算出される方式となっています。
(1) 企業の保有資産(簿価純資産)について継続企業の前提の下、時価ではなく、売却を前提としない継続企業としての資産価値をベースとします。
・昔から使用する事業用土地等について、評価時点の時価ではなく、継続使用を前提とした帳簿価格で評価します。
・建物や設備等は、減価償却後の価額となります。
・時価への洗替えが不要で簡素な評価となり、帳簿の簿価純資産を使用するため、事務負担が軽微になります。
・複雑な業種目判定などは不要で、直前期末の貸借対照表や法人税申告書等から、容易に把握が可能となります。
(2) 企業の収益獲得能力(数年分の超過収益)について企業の超過収益(残余利益)とは、企業が通常期待される利益を上回る金額のことです。この数年分の現在価値の合計を株価へ反映させます。
・将来予測への依存を小さくするため、過去数年間の平均利益等から計算し、過去の実績から一定の予測が可能とされています。
・「数年分」については、有識者から「5年分が良いのではないか」という意見が出ています。
・基準となる還元率は、上場株式の平均期待収益率等を参考に、CAPM(資本資産価格モデル)により算定することが考えられています。
●「±」による評価額への影響
企業の収益力(期待収益率との比較)によって、ベースとなる簿価純資産から評価額が増減します。
・期待収益率以上の収益率の会社は、簿価純資産価額以上の株式評価額となります。
・期待収益率以下または赤字の会社の場合は、簿価純資産から適正に減額され、簿価純資産額以下の株式評価額となります。
このように、株価の計算に必要なものは直前期末の貸借対照表と、過去数年分の損益計算書等のみとなり、企業の収益を反映しつつ簡素化された評価方法が検討されています。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
8月も下旬に入りましたが、日中はまだまだ厳しい残暑が続いておりますね。
今年は猛暑日や突然のゲリラ豪雨も多く、体調管理にはひときわ気を使う夏となりました。
9月に入ると、多くの企業で上期の締めや、年末に向けた事業承継の実行準備が本格化してまいります。
夏の疲れが出やすい時期ですので、お仕事にプライベートに、くれぐれもご自愛いただき、健やかな日々をお過ごしくださいませ。
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