不動産 税金相談室
セットバックって相続税評価額に影響するの?【不動産・税金相談室】
2025.09.09
Q 私が高齢であることから、あらかじめ自宅の相続税評価額がいくらくらいになりそうか計算をしてみようと思っています。
ただ、私の家は築60年ほどでして、周りの家と比べて玄関が数センチ道路にはみ出ています。
このはみ出ている部分に違和感を感じているのですが、自宅の評価を行うにあたり、なにか影響はあるのでしょうか。
また、影響があるとしたら、自宅の相続税評価額はどのように計算すればよいのでしょうか。
A まず、ご自宅の玄関が周りの家よりも数センチ道路にはみ出ているというのは、昔の道路幅の基準が現在よりも緩かったことが影響しております。
というのも、建築基準法が制定されたのが昭和25年(1950年)なのですが、それ以前は狭い道路でも建物が建てることができておりました。
しかし、現在の道路幅については、原則として幅が4m以上の道路に接していないと建物を建てられないこととなっています(建築基準法第42条)。
そのため、ご相談者様のご自宅と周りの家とを比較した際に、玄関がはみ出たようになっているのは、付近の家が道路幅を4m以上確保して建物を建てられたからだと推測されます。
逆にいえば、ご相談者様のご自宅前の道路は、道路幅が4m以上ないということとなり、こうした土地はご自宅を建て替える際には、原則、道路幅が4m以上になるように建物を建てる必要がでてきます(セットバック)。
この後退が必要な部分(セットバック部分)は、将来的に道路として提供され、宅地としての利用価値が制限されるため、相続税評価額を減額することが認められています。
具体的には、原則としてその道路の中心線から左右に2mずつ後退する必要があり、その後退する部分の面積について相続税評価額が減額できます。
計算は次のように行います。
自用地評価額-自用地評価額×(セットバックが必要な面積÷土地の全体面積)×70%
すなわち、セットバックが必要な面積部分については、70%評価減ができる、ということになります。
なお、セットバックの必要性および、どれだけセットバックをする必要があるかは、評価したい物件が所在する役所(建築課や建築指導課、道路管理課等)で確認することができます。
セットバックが必要となる土地は、まだ日本には数多く残されていることから、該当しそうな土地をお持ちの際は、役所でセットバックを必要とするかどうか、念入りに確認するようにしましょう。
《担当:税理士 太田 遼》
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