毎月棚卸しをするかどうか?【実践!社長の財務】第615号

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預金通帳

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

今日は、東京は久しぶりの雨ですね。
夜中にずい分強い雨が降っていて、起きてしまったくらいです。

でも、ずっと暑かったから、ちょうどいいお湿りですね。 
気温も低めで過ごしやすそうです。

ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。

毎月棚卸しをするかどうか?

御社は、毎月の月次決算において、棚卸しをしていますか?

月次決算を正しく出すためには、毎月実地棚卸しをして、正しい在庫を把握することが基本です。

棚卸しの金額を入れないと、実際には売れていない商品の仕入額が、原価に入ってきますので、粗利が狂い、最終利益も違ってきてしまいます。

実地棚卸しが難しいのであれば、帳簿棚卸し高を使って、理論上の棚卸し額を入れる、という方法も考えられます。

ところが、10数年も相当前の話でありますが、実地棚卸しも、帳簿棚卸しもやっていない会社がありました。

雑貨などの小売チェーンで、当然、各店の店頭には在庫があります。

私は、当然のように、在庫の数字を入れないと、正しい損益が出ないので、入れるべきだ、という話をしました。

ところが、同社の社長は、うちは月次の在庫の計算はせずに、損益を把握するから、在庫は計上しない。在庫などの評価は、消化率などで評価するから、不要だ。

第一、毎月実地棚卸しをするのは難しいし、あまり意味がない、みたいな話をしていました。

私は、毎月の棚卸しが面倒だからしないのだろう、ということで、その考えにはずっと納得できずにいました。

同社は、非常に利益率も高く、多額の利益を出していましたし、どんどん店舗も増えて成長していましたので、私もそれ以上は言いませんでした。

もちろん、本決算においては実地棚卸しを実施し、棚卸しを計上した正しい決算を行っています。

その後、同社をずっと見ていった時に気がついたのは、本決算において、在庫の金額が非常に少ないのです。商品の廃棄も低い水準でした。

なぜ、こんなに少ないのだろうか、といろいろ聞いてみて、はたと気がつきました。

それは、各店長の評価は、棚卸しを入れない損益で評価していたのです。

棚卸しを入れない損益とは、どういうことか?

当月売れた売上金額から、当月仕入れた仕入金額を引いて粗利を出す。そこから人件費や店舗家賃などの経費を引いて、各店の利益が出ます。

まったく在庫が加味されていない、いわゆるキャッシュベースの利益で評価する、ということです。

そうなると、当月仕入れたものは、できるだけ当月売るように努力するようになります。

同時に、売れ残らないように、考えて仕入を行うようになります。何となく売れそうだから、これは多目に仕入れよう、などといい加減な仕入をしなくなります。

何しろ、在庫で残ってもそれは損になるわけですから。

棚卸しをしないで、仕入ベース、キャッシュベースで損益を見ると、そういう効果があることに、気がつきました。

棚卸しをする、在庫を計上する、ということは、売れ残ってもそれは原価とはみなさず、資産としてみてくれる、ということです。
実は、不良な資産かも知れないのに...です。

いわば、在庫を計上する、ということは甘い管理になる可能性があるということですね。

ただし、マイナス面もあります。

それは、仕入をし過ぎると損益が悪くなるので、消極的な店長は、仕入を抑え過ぎてしまうことがある、ということです。

仕入に慎重になり過ぎて、売り逃しをおこしてしまう可能性がある、ということですね。

これはまた、別途の方法、たとえば欠品率などを把握して、注意を促すなどの必要があります。

毎月棚卸しを計上するか、しないか、お店の評価などをどのように行うかなどは、業種や商売の仕方によっても、違うかと思います。
 
でも、上記のような考え方もある、ということを知っておいた方が良いと思います。

その上で、自社はどちらでいくのか、どちらが実態を反映し、かつ、社員の考え方に良い影響を及ぼすのか、そのようなことを考えながら、月次決算を行って欲しいですね。

月次決算はあくまで、経営のための会計、管理会計が主なのですから。

編集後記

編集後記、結構見てくれている人が多いので、家族の近況報告です。高3の娘が土曜日イギリスの短期留学から帰ってきました。ケンブリッジで世界各国から大学生くらいの子たちが集まるバイオリンのサマーセミナーです。かなりレベルの高い子たちが集まるようで、相当刺激を受けたようです。自分でコネ作って参加したのですが、よくそんなところに参加できたなと、感心しています...。

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