実践!相続税対策
老人ホームの入居一時金【実践!相続税対策】第398号
2019.08.07
おはようございます。税理士の北岡修一です。
亡くなった時に老人ホームに入っていた、というケースは結構多いですね。
この場合の論点としては、住んでいない自宅の土地が、小規模宅地の特例(330m2まで80%評価減)を受けられるか、という問題が1つあります。
これについては、平成26年より老人ホームに入居した後の自宅についても一定要件を満たしていれば、小規模宅地の特例を受けられるということが、明確になっています。
ということで、こちらについては、一安心ですね。
もう1つ忘れてならないのは、老人ホームに入る時に支払った入居一時金の一部が、亡くなった後に戻ってきた場合、それも相続財産になる、ということです。
高級な老人ホームに入っていると、返戻金の額が結構多くなることもありますので、それを漏らさないように注意しておく必要があります。
とは言え、返還されるのは、相続人に対してのことがほとんどでしょうから、これは相続財産にならないのかな、と気がつくことが多いでしょう。
ましてや税理士がいれば、亡くなった時に老人ホームに入っていれば、入居一時金の返還はないのか、当然、聞いてくれますので漏れることはまずないでしょう。
ただし、漏れるケースがあるのは、奥様も老人ホームに入っている場合です。
奥様が老人ホームに入る時に、その入居一時金を負担しているのが亡くなったご主人である場合です。
この場合の入居一時金の負担が、贈与になるのでは、という問題もありますが、こちらは「生活費に充てるために通常必要と認められるもの」という裁決事例もありますので、問題はないと考えます。
ご主人が亡くなった時に、奥様がご存命であれば、当然、奥様の入居一時金は戻ってきません。
実際に入金になるわけではないので、相続税財産になるかどうか、気がつかないことが多いのです。
この入居一時金に関しては、家賃の前払いとして性格があるため、その時点では、前払金の残高があるはずです。
この資金負担はご主人がしているため、この前払金残高は、ご主人の相続財産になると考えられます。
ご主人が亡くなった時点で、奥様が老人ホームを退居した場合に、いくら戻ってくるのかを、老人ホームに計算してもらい、その額を相続財産に載せることを、忘れないようにしないといけませんね。
編集後記
すごかったですね!スマイリング・シンデレラ渋野日向子選手。
全英女子オープン最終日、窮地に陥った場面もありましたが、見事笑顔で逆転優勝!
本当に、笑顔の力というのは、すごいものがありますね!
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