遺産分割に関する見直し(特別受益の持ち戻し)【実践!相続税対策】第392号

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おはようございます。税理士の宮田雅世です。

先週に引き続き、来月1日から施行される民法改正の一部についてみていきます。
今回のテーマは、遺産分割に関する見直しです。

婚姻期間が20年以上である配偶者に対して、居住用不動産を贈与した場合は、2,000万円まで贈与税が非課税となる制度があります。

この非課税制度を利用して、自宅の土地や建物を生前贈与されている方もいらっしゃることかと思います。

現行制度では、居住用不動産を配偶者に贈与した場合でも、贈与者の相続が発生すると、遺産の先渡しを受けたもの(特別受益)として、取り扱われることになっています。

たとえば、被相続人が次の財産を所有していた場合でみていきます。相続人は配偶者と子とします。

・居住用不動産の2分の1 評価額2,000万円
・預貯金等 評価額4,000万円

さらに数年前、配偶者に次の生前贈与を行っていたとします。

・配偶者への生前贈与 居住用不動産2分の1 評価額2,000万円

上記の例であれば、配偶者へ生前贈与した不動産2,000万円が、特別受益となり、相続財産として持ち戻しの対象となります。

相続人の中に特別受益を得ていた人がいる場合、法定相続分のまま遺産分割するのでは、不公平が生じてしまいます。

そこで、民法では各相続人間の公平を図るため、特別受益分を考慮したうえで相続分を算定する「特別受益の持ち戻し」という制度を設けています。

上記の事例で計算してみます。

特別受益を考慮した配偶者の相続額は、次のとおりとなります。
(2,000万+4,000万+2,000万)×1/2-2,000万 = 2,000万円

相続時の財産に、特別受益を加算した上で法定相続分を乗じ、既に取得した特別受益分を差し引いて、相続額を計算しています。

この場合、配偶者は居住用不動産の2分の1(2,000万円)を相続するにとどまり、生活資金を取得することができません。

そうなると、今後の生活に不安を残すなど問題が生じてしまいます。

このようなことから、今回の改正では、配偶者の長年にわたる貢献に報いるとともに、老後の生活保障をはかる趣旨で見直されました。

具体的には、婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他方に対し、居住用不動産の贈与・遺贈をした場合は、原則として、特別受益を受けたものとして扱わないことになった、ということです。

その結果、上記事例における配偶者の遺産分割における取得額は、次のとおりとなります。

(2,000万円+4,000万円)×1/2 = 3,000万円

改正前よりも、より多くの財産を取得することが可能となります。

なお、この制度は、相続税の計算方法に影響するものではありません。あくまでも親族間での遺産分割に関係する、民法上の改正です。

争いがなく、スムーズに遺産分割が行われる場合には、特に気にすることなく、相続人間の話し合いで決めていけばよいことですね。

編集後記

じめじめとした梅雨の時期、雨が降り続いたかと思えば、たまに晴れては暑くなったりしていますね。
気温の変化で体調もくずしやすくなりますので、熱中症などならないよう、しっかり対策して、この時期を乗り切りましょう。

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