実践!相続税対策
配偶者間における相続税の優遇措置【実践!相続税対策】第390号
2019.06.12
おはようございます。税理士の利根川裕行です。
今回は、配偶者間で認められている相続税法の優遇措置について、簡単にまとめてみました。
特に、二次相続を考慮し、遺産の分割を考える際の参考情報としていただければと思います。
なお、各優遇措置の具体的な内容については、過去のメルマガをご参照ください。
配偶者について、相続税や贈与税の計算上、なぜ優遇措置が認められているのでしょうか?
簡単にいうと、主に次のような理由からです。
・1人暮らしとなるため、その生活を保障するため
・夫婦で財産を築き上げてきたことによる、その貢献度を考慮して
ということになります。
相続税および贈与税の計算上、配偶者に認められている優遇措置の概要をおさらいしてみましょう。
まず挙げられるのは、「配偶者に対する相続税額の軽減」です。
配偶者が取得する相続財産のうち、最低でも1億6千万円までは、相続税がかからないというものです。
遺言書がある場合や、遺産分割協議が成立した場合に適用できるため、遺産が未分割の場合には使えません。
なお、未分割であっても、原則、申告期限から3年以内に分割された場合は、この特例が使えます。
次に、「贈与税の配偶者控除」です。
直近のメルマガでもテーマにしました。
婚姻期間20年以上の配偶者から、居住用不動産等の贈与があった場合、一定要件のもと、最高2千万円の控除が認められています。
基礎控除と合せれば、2,110万円までは贈与税がかからない、ということになります。
ただし、たとえ贈与税額が0円であったとしても、贈与税申告書を提出することが条件となっていますので、ご注意ください。
1点、補足事項があります。
相続開始前3年以内に贈与した財産は、相続財産に加算することになっていることは、ご存じかと思います。
この例外として、上記の「贈与税の配偶者控除」を適用して贈与した財産は、相続財産に加算されないことになっています。
最後は、「小規模宅地特例」となります。
被相続人の居住用宅地を、配偶者が取得した場合、無条件に宅地の評価額が80%評価減され、2割評価となります。
配偶者が取得した場合は、申告期限まで居住していなくても、または売却したとしても、無条件に評価減が認められます。
念のためですが、居住用宅地に限られますのでご注意ください。
なお、未分割であった場合に適用できないのは、「配偶者に対する相続税額の軽減」と同様です。
二次相続時には、配偶者がいないため、配偶者に認めらているこれらの特例が使えなくなり、相続税額が高くなりがちです。
したがって、一次相続時に二次相続を考慮して遺産分割することが、相続税対策の観点からは、重要になってきます。
相続税の試算を行う場合も、同時に配偶者の財産も評価した上で、一次相続、二次相続合せて、トータルで試算できれば、より有用となってきます。
これから相続税対策を行う方は、是非、二次相続も考慮して行ってください。
編集後記
昨日6月11日に、相続クラブ会員様向けの家族信託活用セミナーを開催しました。多数のお申込みを受けましたが、会場の都合上、参加いただけなかった方も多くいらっしゃいました。大変申し訳ありませんでした。
同じ内容で追加のセミナーを企画したいと思いますので、決定次第ご案内させていただきます。是非、次回ご参加いただければと思います。
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