実践!相続税対策
預金仮払い制度が創設【実践!相続税対策】第375号
2019.02.27
皆様、おはようございます。
税理士の利根川裕行です。
現在、確定申告時期の真っただ中です。
確定申告書の提出も受けつけられており、税務署では、既に長蛇の列ができているようですね。
3月に入ると、さらに混むことが予想されますので、行く予定の方は、お早めに行かれることをお勧めいたします。
では、本日の「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
預金仮払い制度が創設
今回も、2019年7月1日に施行される民法(相続法)の改正内容について、確認しておきたいと思います。
相続が発生しそうな時に、身内で集まると、高い確率で話されること。
「今のうちに預金口座からお金を引き出しておいた方がよいのではないか?」
ということではないでしょか?
相続開始とともに、被相続人の預金口座は凍結されてしまいます。
預金も遺産分割の対象なため、遺言書がない場合は、相続人全員の同意がなければ、払い戻しが受けられません。
葬式費用等の多額の出金や、当面の生活費のことを考えれば、凍結前に引き出しておきたい、という考えは当然でしょう。
今回の、民法(相続法)改正では、遺産の分割協議がまとまる前でも、預金の払い戻しが可能となります。
払い戻しが認められるのは、当然、相続人になるのですが、2通りの方法があります。
1つは従来どおり、家庭裁判所の手続きを利用する方法です。
家庭裁判所を通すくらいなので、相続人間での話し合いでは遺産分割が困難な場合が前提となります。
家庭裁判所が、相続に関係する借金の返済や、相続人の生活費のために必要と認めた場合などに、払い戻される方法です。
遺産分割までに長期間かかる場合でも、正当な理由があれば、払い戻しが認められるということです。
もう1つは、家庭裁判所を通さずに、相続人単独で払い戻しが認められる、新たに創設された方法です。
裁判所を通さないなめ、手続きはとても容易です。
相続人自らが、銀行などの窓口で、預金の払い戻しを求めることが可能となるのです。
ただし、払い戻しが受けられる金額には上限があります。
預金口座の全額について、払い戻しが受けられるわけではありません。
法務省令で定める額である 150万円(金融機関単位)が上限で、下記の金額の払い戻しが受けられます。
相続開始時の預金残高×1/3×払い戻しを受ける相続人の法定相続分
補足ではありますが、遺産分割前に、払い戻しを受けた金額は、その方が相続により取得したことになります。
この方法は、上限金額が定められているものの、手続きが容易なため、緊急性を要する場合に有効でしょう。
そもそも、遺言書があれば、今回の預金仮払い制度を利用する必要はありません。
やはり、相続対策という観点からは、遺言書は作成しておいた方がよい、ということに行き着きますね。
遺言書作成については、専門家にご相談されることをお勧めいたします。
編集後記
先週から少しだけ暖かい日が続いています。その関係で花粉が飛んでおり、鼻がムズムズ、くしゃみが出はじめ、今年もいよいよこの時期がきたのかと思いました。今年は、花粉の量が凄そうなので、花粉症の人は苦労しそうですね。
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