実践!相続税対策
建築中に相続が発生した場合【実践!相続税対策】第362号
2018.11.28
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
私の担当するのは、何か久しぶりな気がしますね。
1カ月以上経っていました。
ということで、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
建築中に相続が発生した場合
自宅を建て替えたいが、親が高齢のため、いつ相続が起こるかわからない。
建築中に亡くなってしまうと、そこに居住していたとは言えず、評価が高くなってしまうのではないかと、建て替えを躊躇している方が、いらっしゃいます。
そこで、建築中の建物や土地の評価は、どうなるのか、見ていきたいと思います。
まず、建築中の建物の評価ですが、その建物に関して相続発生時までに掛かった費用原価の70%で評価することになっています。
費用原価とは、建築会社などに支払った額ではなく、相続発生時までに、建物に投下された建築費用の額を、課税時期の価額に引き直した額、とされています。
これを計算するためには、建物がどこまで完成しているのかがわからなければ、できません。
したがって、建設工事の進捗率を、建築会社などに確認する必要があります。
たとえば、建築工事の請負金額が5,000万円である場合、進捗率が40%であれば、5,000万円×40%=2,000万円が、費用原価となります。
その70%、2,000万円×70%=1,400万円が、建築中の建物の評価となります。
この場合、手付金や中間金で1,000万円を建築会社に支払っていた場合は、どうなるでしょうか?
相続時の進捗率を掛けた費用原価は、2,000万円発生しているため、理論的には相続時に2,000万円を支払う義務があります。
その内、支払っているのが1,000万円ということですから、残りの1,000万円(2,000万円-1,000万円)は、未払金として、債務控除ができることになります。
結果として、建物1,400万円、未払金▲1,000万円 ということになります。
次に、土地の評価、特に居住用の小規模宅地特例は、使えるのでしょうか?
居住用の小規模宅地特例は、330m2まで80%評価減ができますので、これが使えなくなってしまうと大きいですね。
でも、ご安心ください。基本的には建築中に相続が発生しても、その敷地については、小規模宅地特例を使うことができます。
ただし、次のような条件があります。
1.建築中の建物は、被相続人またはその親族が所有するもので、かつ、被相続人等の居住の用に供されると、認められるものであること。
2.原則として、相続税の申告期限までに、その建築中の建物を、次の者の居住の用に供されていること。
・その建物またはその敷地を取得した親族
・被相続人と生計をーにしてした親族
たとえば、被相続人と同居していた親族が、その自宅を相続して、住んでいれば問題なく使える、ということですね。
ただし、被相続人が建て替え中に他の自宅を購入して居住していた場合には、そちらが居住用になるので、建て替え中の方の土地は、小規模宅地特例が使えなくなってしまいます。
この場合においても、建築中だけ一時的に住んでいたと認められるようであれば、建て替え中の土地について、小規模宅地特例を使うことは可能です。
建て替えを検討している場合は、以上のようなことを是非踏まえて、計画していただければと思います。
編集後記
この1カ月でずい分寒くなってきましたね。今週末は福島の方に行って、ちょっとボランティア的なことをしてくる予定です。
かなり寒いところらしいので、防寒対策で何を持っていこうかと思案しています。防寒対策ならユニクロかな…?
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