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実践!相続税対策

無償返還の届出と小規模宅地特例【実践!相続税対策】第345号

無償返還の届出と小規模宅地特例【実践!相続税対策】第345号

2018.08.01

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

今日から8月ですね。もう十分夏は堪能した、という感じではありますが、これからが本番ですね!

まだまだ酷暑が続くようですので、皆様、十分ご自愛ください。

では、本日の「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。

無償返還の届出と小規模宅地特例

個人の土地の上に、自分の会社が建物を建てている、ということはよくあります。

個人でやっていたアパート経営を、法人を作って、建物だけ法人に譲渡する、いわゆる「賃貸経営の法人化」をした場合などが、そうですね。

この場合、注意しなければいけないのは、借地権の問題です。

もし法人が、まったくの第三者の法人であれば、自分の土地に簡単に建物を建てさせる、なんてことはしません。

当然、借地契約を結び、借地権を設定して、その権利金として、多額の一時金をもらうことになるでしょう。

その上で、数十年おきに更新をしていく、更新の時には多額の更新料をもらう、というのが一般的です。

したがって、税務においては、自分の会社だからといって、自分の土地の上に建物を建てさせ、権利金をもらわず、安い地代だけで、法人に土地を貸す、ということは許されません。

権利金をもらわず、土地を貸したのであれば、その権利金の分を、贈与したものとみなします。

そうなると、贈与を受けた法人の方では、受贈益を立て、それに多額の法人税がかかってしまいます。

これを借地権の認定課税といいます。

こんなことが起こっては、大変です。

解決方法はいくつかあるのですが、最もポピュラーなものは、「土地の無償返還に関する届出書」を、税務署に提出することです。

これは、土地の借主は、将来この土地を使わなくなった時には、土地を無償で返還する、ということを、借主貸主連名で税務署に提出するものです。

すなわち、借主は借地権を持っていない、ということを明確にするものです。

したがって、権利金を払わなくても勘弁してくださいね、ということです。

さて、この無償返還を出した土地については、自用地として評価することになっています。貸してはいるけれど、自分で使っている土地としての評価です。

土地を貸せば通常は、貸宅地で、借地権割合を控除した底地評価となるのですが、更地と同様100%土地評価となります。

ただし、適正な地代をもらっているのであれば、土地の評価額は20%控除してくれることになっています。

借主は借地権を持っていないとしても、実際には借主の建物が建っていて、貸主は土地を自由に使えないからです。

ここで、ようやく今日のタイトルの小規模宅地特例の話です。

この無償返還の届を出している土地は、貸付事業用宅地として、小規模宅地特例(200m2まで50%評価減)が、使えるかどうか、です。

結論は、使えます。ただし、上記の20%控除と同じように、適正な地代をもらっていることが、条件となります。

この適正な地代というのは、どのようなものでしょうか?

それは土地の時価を反映し、本来その土地の地代として収受すべき金額です。

といっても、わかりにくいので、通常は、固定資産税の3倍程度を目安に、近隣の地代相場を参考にして決める、といったようなことが行われています。

以上から、土地が個人、建物は法人、とするような場合は、必ず「土地の無償返還に関する届出書」を出し、適正な地代によって、「土地の賃貸借契約書」を作る、ということが大事になってきます。

これを、賃貸借契約を締結した法人の、その期の申告期限までに行っておくことが重要です。

届出をしてあるかどうか、是非、確認してみてください。

編集後記

先日妻と「夏休みはどうしょうか?」などと話していましたが、結局、何らかのついでに京都に行ったり、高知に行ったりすることがあり、その時にちょっと取ろうか程度の、計画のなさになってしまいました。子どもが大きくなってしまうと、昔のように、数か月前からしっかり計画する、なんていうのがなくなってきますね(笑)。

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