実践!相続税対策
土地と建物の所有者が違う場合【実践!相続税対策】第329号
2018.04.11
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
私が担当するのは、確定申告中から久しぶりとなります。
確定申告中は、皆、確定申告業務に没頭しています。特に今年の申告では譲渡、贈与などが多かったですから、このメルマガを書いている資産税部メンバーは、超多忙でした。
そこで、チェックのみ担当の私が確定申告中は書いていることが多かった、ということです(笑)。
その分、確定申告が終わったら皆に多く書いてもらいました。
ということで、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
土地と建物の所有者が違う場合
親の土地に、子がマイホームを建てて住んでいるケースや、
個人の土地に、自分の会社がアパートを所有していて、賃貸しているケースなど、
土地と建物の所有者が違うケースは、結構多いものです。昨今、賃貸経営の法人化によっても、増えてきました。
この場合に問題になるのは、借地権の問題です。
人の土地に建物を建てるということは、建物を建てた人は原則として、借地権を持つ、ということになります。
土地を持っている人は、土地が使えなくなってしまいますから、財産価値が減ってしまいます。
その財産価値が借地権であり、家を建てた人に移動するわけです。
そこで、借地権課税の問題が起こってきます。
家を建てた人は、借地権という財産を持つのですから、本来は、その際に何らかの対価を支払う必要があります。
すなわち、借地権を買い取る、借地権の権利金を支払うのが本来です。
地主さんも、他人が家を建てるのであれば、タダで建てさせるわけはないでしょう。
20年などの借地契約をして、まとまったお金(権利金)をもらうのが一般的です。
親子や自分の会社であっても、税法的にはそうする必要があります。
借地権割合は、60%、70%のところが多いですから、かなりの金額になります。
ただし、息子であったり、自分の会社である場合には、権利金を取るなどはしないのも、通常です。
そこで、借地権の権利金分について、親から子、あるいは自分の会社に、タダであげた=贈与をした、という扱いをされてしまう可能性があるのです。
そこに多額の税金をかけられてしまう恐れがあります。
これを回避するには、相手が個人であるか、法人であるかで違ってきます。
相手が法人である場合には、「土地の無償返還に関する届出」という制度があります。
法人は借地権を持たず、将来土地は無償で地主さんに返しますよ、という届出を、法人と地主さんの連名で税務署に届けます。
これで、借地権の課税の問題は回避されます。
あとは、法人は地主さんに通常の地代を払っていけば、問題ありません。
この無償返還の届出、個人間でも使えると思っている人がいたので、今回このメルマガで取り上げました。
無償返還の届出は、一方が法人である場合のみ、使えます。個人と個人の場合は、使うことができません。
では、個人間の場合はどうするのがよいのでしょうか?
たとえば、父親の土地に息子がマイホームを建てたとします。
この時に、息子が自分も所得があるから、悪いからと言って通常の地代を親に支払うと、
息子は借地権を持っているということになり、借地権の贈与課税を受けてしまう可能性があるのです。
したがって、おかしな話ではありますが、息子さんは親に地代を支払ってはいけません。
支払うのであれば、土地の固定資産税の金額までです。
父親のその土地の固定資産税を負担する程度にとどめておく、ということです。
すなわち、土地はタダで借りるか、固定資産税を負担する程度ということですね。
これを使用貸借といいます。
使用貸借にすることにより、息子は借地権は持っていない、ということになり、課税問題は発生しないことになります。
土地を法人へ貸す場合は、無償返還、
子など個人に貸す場合は、使用貸借、
ということになりますね。
編集後記
先日弊社のホームページの分析をしてもらったところ、メルマガから来ている人が非常に多いことがわかりました。ホームページを見に来る方の85%がメルマガから、ということでした。
このメルマガの他、不動産税金相談室のメルマガや実践!社長の財務メルマガも含めてです。やはりメルマガを長くやってきているので、情報がたくさん貯まっており、検索でヒットする確率が高いのでしょうね。やはり「継続は力なり」です!
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