実践!相続税対策
贈与税の配偶者控除の対象となる物件【実践!相続税対策】第288号
2017.06.28
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ来週月曜日(7/3)、平成29年分の路線価が公表されます。
今はまだ、下記サイトには平成28年分が表示されていますが、
是非、来週になったら早速確認していただければと思います。
<国税庁路線価図ページ>
http://www.rosenka.nta.go.jp/
本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
贈与税の配偶者控除の対象となる物件
かなり一般的にも知られるようになってきましたが、婚姻期間20年以上の配偶者に、居住用不動産(自宅)を贈与した場合には、2,000万円まで贈与税がかからないことになっています。
これは、自宅の土地建物を持分贈与しても構いませんし、新たに新居を購入する時に、現金を贈与することでも構いません。
この贈与を行うことにより、たとえばご主人の財産が減って、相続税対策になる、というのが目的の1つです。
配偶者が相続する財産は、法定相続分あるいは1.6億円まで、相続税がかからない規定がありますが、
贈与により夫の財産が減ることで、この相続税がかからない財産を多くすることができます。
また、夫婦共有で土地建物を所有することにより、万が一自宅を売却するようなことがあっても、3,000万円控除をダブルで使えるようになるので、譲渡所得税の対策にもなります。
したがって、結婚20周年を迎えたら、居住用不動産の贈与を検討してみることをお奨めします。
なお、住宅ローンなどが残っている場合などは、贈与に際しては銀行の承諾を得ておく必要がありますので、ご注意ください。(抵当権がついていますので)
ところで、この居住用不動産の贈与は、土地建物共に贈与しないといけないのか、という質問をよく受けます。
これに関しては、自宅建物だけでも、自宅の敷地だけでも、非課税の対象になります。
土地が借地の場合は、借地権の贈与だけでも対象になります。
ただし、自宅の敷地だけの贈与の場合は、建物の所有者が次の者である必要があります。
1.夫または妻
2.贈与を受けた配偶者と同居する親族
2の場合は、たとえば夫が所有する土地の上に、同居する息子が家を建てて、一緒に住んでいるような場合です。
なお、自宅を贈与する場合の評価額は、次のとおりです。
土地については、基本的には路線価に地積を乗じて計算します。
いわゆる相続税評価額で計算するわけですが、土地の形状やセットバックなどを考慮したり、少し難解になりますので、税理士に評価してもらった方がよいと思います。
今年分の路線価は、来週7月3日(月)に国税庁HPで公開されますので、是非、確認してください。
借地権の場合には、上記のように土地を評価した上で、借地権割合を乗じて、評価額を計算します。
この借地権割合も、路線価図に表示されていますので、ご確認ください。
建物は、固定資産税評価額です。これは、東京都であれば6月頭に固定資産税の納税通知書が送られてきていますので、その最後のページに表示されています。
固定資産税評価額や路線価が公表されるこの時期こそ、贈与税の配偶者控除を検討するよい時期ではないかと思いますので、是非、考えてみてください。
編集後記
今週月曜日に「不動産オーナーの事業承継」というタイトルでセミナーを行いました。
事業承継や不動産オーナー向けの相続税対策などのセミナーは今までもやっていますが、不動産オーナーの事業承継、というのは初めてです。いわゆる賃貸経営の事業承継ですね。
これはセミナーのレジメを作りながら、ずい分考えました。
でも、セミナーで話しながら、こんなこともあったな、あんなこともあったな、と思いつくようなセミナーでした。
やはり初めてなので、十分ではなかったかも知れませんが、やりながら気がつくことは多いものですね。一番勉強になったのは私かも知れません(笑)。
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