
皆様、おはようございます。
税理士の後藤文(あや)です。
長いと思っていたゴールデンウィークも、今日で終わりです。
何事もそうですが、過ぎるとやっぱり、あっという間ですね。。。
ということで、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
小規模宅地等の特例・家なき子
先週は、更地の貸付における、小規模宅地等の特例についてお伝えしました。
(一定面積まで、50%または80%評価減される特例)
今週は、小規模宅地等の特例の中の、通称「家なき子」についてお伝えしようと思います。
このメルマガでも「家なき子」については、折々触れてきてはいますが、今回は「家なき子」の観点のみを、確認していきたいと思います。
「家なき子」というのは条文上の正式な名称ではなく、制度の特徴から、実務上呼ばれている“通称”です。
居住用宅地等の場合の、評価減の1つであり、次の要件をすべて満たす場合に、適用されます。
1.被相続人に配偶者、または、同居親族がいないこと
2.その宅地等を取得した親族が、相続開始前3年以内に自己または、自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと
※その家屋からは、被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く。
3.その取得をした宅地等を、申告期限まで所有していること
この特例が適用されるケースは、基本的には二次相続のときです。
一次相続では、配偶者が自宅を取得することで、80%評価減を適用できるので、さほど問題は生じません。
ただ、二次相続では、居住用の80%評価減を使うためには、自宅を取得する予定の子供が、残された親と同居している必要があります。
しかし、昨今では、同居だと人間関係も大変なので「近居」などという造語で、近所に家を建てましょう、と勧める不動産会社もあるほどです。
このように同居をしていない子供でも、親の自宅については80%の評価減が使えるようにとの措置、それが「家なき子」の特例です。
あくまでも、被相続人に配偶者がいない、かつ、同居親族がいない場合に、三番手としてチャンスが巡ってくるのが「家なき子」ということになります。
「家なき子」というと、両親を亡くした子供というイメージが強いかもしれませんが、被相続人の孫、甥、姪、兄弟姉妹なども、要件を満たせば適用があります。
たとえば、独身である兄弟姉妹が亡くなり(両親は既に他界)、その自宅を、兄弟姉妹が取得する場合などです。
また、孫が祖父母の相続で、祖父母の自宅を取得するような場合も考えられます。
上記要件を満たせば、その宅地等は、80%もの評価減が可能となるのです。
(ただし、これらの者は、相続税額の2割加算の対象となるので注意が必要です)
上記2つ目の要件、これが非常に重要でもあり、ややこしくもあるところです。
ポイントは、ここで要求されているのは「居住」していないことであり「所有」していないことではない、という点です。
自分または配偶者名義の不動産を所有していたとしても、それを賃貸し、自分自身は賃貸物件に住んでいるという場合には、要件をクリアしていることになるのです。
そして、同じく2つ目の要件の※印の部分。
『その家屋からは、被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く』
の一文です。
サッと読むと、どういう状態なのか分かりづらいのですが、たとえば・・・
・父の相続で、母が自宅を取得
・その建物を子供が建てかえ、母と同居
・子供は転勤となり、母が一人暮らしに
・その1年後に母が亡くなる
というようなケースです。
母の相続で、子供は自宅の宅地を取得します。
ただし、その家屋は子供の所有であり、相続開始前3年以内に自分も住んでいた家屋です。
そこで活きてくるのが、この※印の一文です。
これによって、被相続人である母の暮らす宅地は特定居住用宅地等となり、子供は80%の評価減を受けることができるのです。
「家なき子」の場合、相続時点で自分が居住していない宅地等を取得することになります。
したがって、その宅地は不要不急のものである場合もあるでしょう。
だからと言って、申告期限前に売却してしまうと、特例の適用が受けられなくなります。
「家なき子」適用の際には、上記要件の3つ目、所有の継続要件についてもお忘れのないよう、ご注意ください。
編集後記
休みの間に、あれもこれも片づけて・・・と思っていましたが、子供も同様に休みのため、結果平日よりも何も出来ず。。。
まあ、それが休日なんだなぁと、しみじみと感じている今日この頃です。
このメルマガも、ゴールデンウィーク前に書いておこう!なんて思っていましたが、しっかりゴールデンウィークに書いております。。。
時間の感覚が緩い生活になってしまっていますが、またリズムを取り戻して、頑張っていきたいと思います!
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