実践!相続税対策
遺言書にない財産がある場合【実践!相続税対策】第408号
2019.10.16
おはようございます。税理士の宮田雅世です。
相続が発生し、遺言書をあけてみたら、一部の財産しか書かれていなかった、ということがよくあります。
遺言書がある場合は、原則、遺言書が優先されます。
遺言書に書いていない他の財産があった場合には、その財産のみ、相続人間での遺産分割協議が必要になります。
民法の改正により、自筆証書遺言の要件が緩和されました。
これをきっかけに、遺言書を残すことを意識されている方も増えていることと思います。
また、もめない相続のために、公正証書遺言を選択されている方もいらっしゃいます。
公正証書遺言の場合は、公証人および証人2名立会いのもと作成し、公証役場に保管されます。
作成した後に財産の内容に変更がある場合には、その都度、変更は可能です。すべてを変更してもよいですが、追加部分だけでも問題ありません。
たとえば、公正証書遺言を作成した後に、一部金融財産を解約して新たに口座を開設したり、また、不動産を新たに購入した場合には、その部分だけ自筆証書遺言で作成してもよいのです。
自筆証書遺言は、財産目録については自筆でなくてもよくなりました。
パソコンで財産目録の作成が可能となり、通帳コピーや不動産謄本などのコピー添付でも、有効なものとなります。
ただし、日付や自署押印は忘れずに行いましょう。自筆証書遺言でも、効力が認められるよう、規定にそって記載してあることが重要です。
上記のように、変更がある都度、遺言書を変更することができればよいですが、それができない場合もあります。
ずいぶん前に公正証書遺言を作成し、その後、不動産を購入したり、預金を解約したりといったこともあります。
また、病気や認知症になってしまうと、その後の変更はできなくなってしまいます。
このような状況で亡くなってしまった場合には、遺言書に書かれていない財産のみ、相続人間で遺産分割をすることになります。
逆に、生前に処分してしまった財産については、遺言の撤回があったものとして取り扱います。
最初からなかったものとして、他の財産については、遺言書の記載どおりとなります。
編集後記
先日の台風により、被害にあわれた方も多かったのではないでしょうか。私の実家も浸水してしまいました。多摩川の氾濫を心配していましたが、排水処理が間に合わず、あたり一面泥水です。台風が去った後は、泥とごみの山で、その処理に今でも追われています。
被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。
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