実践!相続税対策
養子縁組は相続対策にメリットかデメリットか?【実践!相続税対策】第402号
2019.09.04
おはようございます。税理士の利根川裕行です。
相続税の節税対策の1つに、養子縁組をする、ということを耳にした方は多いのではないでしょうか?
今回、相続対策上、養子縁組をすることのメリットとデメリットを簡単にまとめてみました。
節税対策だけではなく、遺産分割対策の観点も含めて、総合的な検討材料としていただければと思います。
まずは、養子縁組の相続税法上のメリットについて。
法定相続人を増やす目的で、養子縁組を活用することがあります。
法定相続人が増えることで、下記のとおり、相続税額の節税に結び付くからです。
・基礎控除額が増加する
・死亡保険金、退職金の非課税限度額が増加する 等
基礎控除額は、下記の算式で計算され、課税遺産額がこの金額の範囲であれば相続税はかかりません。
3千万円+(6百万円×法定相続人の数)
同様に、死亡保険金や退職金の非課税限度額は、下記の算式で計算されます。
相続人が受け取った死亡保険金がこの金額の範囲内であれば、相続税はかかりません。
5百万円×法定相続人の数
計算式を眺めると、養子縁組をする人数が増加するほど、相続税額が安くなることがわかります。
そこで、相続税法上は、養子の数に、下記のような一定数の制限を設けています。
・被相続人に実の子供がいる場合・・・1人まで
・被相続人に実の子供がいない場合・・2人まで
孫を養子にすることで、節税対策につながることもあります。
孫養子への相続は、世代を1回飛び越して財産を移すことになるため、相続税の納税回数も1回減ることになるからです。
ただし、相続の際に、孫養子に相続財産が移転した場合は、少しだけ注意が必要です。
孫が負担する相続税額は2割加算され、1.2倍になります。
しかし、孫養子への2割加算があっても、2次相続までを考慮した全体の相続税額の軽減には繋がるケースが多いと考えます。
次に、養子縁組の相続税法上のデメリットを中心に考えていきたいと思います。
1つ目は、先の、孫養子の場合、相続税額の2割加算の措置があるということでしょう。
2つ目は、養子がいることで、遺産分割協議が申告期限内にまとまらない可能性もでてきます。
その場合、下記の、相続税法上の優遇措置が使えないことも考えなくてはなりません。
・配偶者に対する相続税の税額軽減
(配偶者が取得する財産額について、最低1憶6千万円までは相続税がかからない)
・小規模宅地等の特例
(一定の要件を満たすことで、土地の更地評価額の2割もしくは5割評価が、一定の面積まで可能)
ただし、相続税額が安くなるからと、安易に養子縁組をされることはお勧めできません。
遺産分割で大いに揉めるケースに発展すると、家族仲について、取り返しがつかないことになることもあるからです。
相続対策を機に養子縁組を検討される場合は、養子縁組の目的を明確にした上で、そのメリット・デメリットを十分に検討して、決定されることをお勧めします。
編集後記
定期的に血液検査をしているのですが、数値を見るたびに、食生活の改善を意識させられます。食生活及び数値について、以前よりは各段によくなっていると思うのですが、まだまだの部分があります。
食生活だけではなく、適度の運動をしていかなくては、と思う今日この頃です。
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