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実践!相続税対策

贈与した年に、相続が発生した場合【実践!相続税対策】第399号

贈与した年に、相続が発生した場合【実践!相続税対策】第399号

2019.08.14

おはようございます。税理士の利根川裕行です。

相続税の節税対策の基本は、生前贈与(暦年贈与や相続時精算課税贈与)をいかに行うか、であると考えています。

(※暦年贈与とは、基礎控除110万円を使った通常の贈与のこと)

ただ、節税対策の必要性を感じて生前贈与を行ったのはいいが、その矢先に相続が発生してしまった、ということはよくあります。

今回は、そんな贈与をした年に相続が発生した場合の、相続税と贈与税の取り扱いについて、みていきたいと思います。

なお、暦年贈与の場合、贈与を受けた相続人が、相続の際に財産を相続することを前提とします。

生前に、相続人等に対し、暦年贈与により財産を移した場合には、生前贈与加算を、念頭に置いておかなければなりません。

相続により財産を取得した相続人は、相続開始から3年以内の贈与財産を、相続財産に加えなければならないというものです。

贈与をした年に、相続が発生した場合についても、当然、相続財産に加算され、相続税の課税対象となります。

では、相続年に贈与により財産を取得した相続人は、その年の贈与税申告書を提出する必要があるでしょうか?

通常、贈与を受けた人は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与税の申告書を提出しなければなりません。

ただし、暦年贈与の場合、贈与財産の額が年間110万円までであれば、申告書の提出は不要です。

相続年に贈与を受けた場合は、その年の贈与税申告書の提出は、不要となります。

暦年贈与を受けた財産の価額を、相続財産に加えて、相続税の課税対象にするだけで完了です。

なお、相続財産を取得せず、生前贈与加算の適用がない場合は、通常とおり、贈与税申告書の提出が必要となります。

では、相続時精算課税制度を使って贈与をした場合は、どうでしょうか?

相続時精算課税制度とは、60歳以上である直系尊属から、20歳以上である子や孫に贈与を行う場合、この制度を選択することにより、累計2,500万円まで贈与税がかからない、という制度です。

ただし、贈与者の相続があった場合は、その贈与財産は相続財産に含めて相続税を計算し、税金の精算をすることになります。

相続時精算課税制度を使って贈与した年度に、贈与者に相続が発生した場合、相続税の計算上は、暦年贈与と同様になります。

すなわち、贈与を受けた財産を相続財産に加えて、相続税の課税対象にするということです。

相続時精算課税制度により、財産を取得した者の手続きも、暦年贈与の場合と同様に、贈与税申告書の提出は不要です。

相続財産に加算され、相続税申告書内で完結させるからです。

ただし、相続時精算課税制度の適用を受けるためには「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要となっています。

贈与税申告書の提出は不要でも、この相続時精算課税選択届出書の提出はする必要がありますので、ご注意ください。

最後に、配偶者に居住用不動産を贈与した年に、その贈与者に相続が発生した場合についてみておきます。

配偶者に居住用不動産を贈与した場合は、一定の要件を満たすことにより「贈与税の配偶者控除」を受けることができ、2千万円までは贈与税はかからない(非課税)ことになっています。

贈与年に贈与者が亡くなった場合でも、2千万円までの非課税の適用を受けられるのかということですが、結論としては、2千万円までの金額は、贈与税も相続税もかからない、ということになります。

ただし、次の手続き要件があります。

・相続税申告書には、贈与税の配偶者控除を適用する旨を記載
・贈与税申告書も、贈与税は0円でも期限内に提出すること

これを忘れないようにしなければ、いけません。

贈与者が、その贈与をした年中に亡くなった場合、相続税および贈与税の手続き関係が、わかりにくい部分が多いです。

このような場合には、できるだけ早目に、専門家に相談されることをお勧めいたします。

編集後記

先日、区役所に、土地の評価のための資料を閲覧しにいきました。
今回の案件のものは、区役所にはないが、都庁に行けばあるということだったので、その足で都庁に行き、資料請求をしました。

出てきたものは、こちらが意図しているものではなく、それしか保管していないとのことでした。ものすごく暑い中、ただ散歩にでかけてきた、という結果になってしまいました…。

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