実践!相続税対策
遺産分割協議をした後に遺留分の主張?【実践!相続税対策】第396号
2019.07.24
おはようございます。税理士の北岡修一です。
遺産分割協議をして、遺産分割が決まった後に、改めてよく内容を見てみると、どうも自分の取り分が少ない、不満だ、という場合があります。
特に相続税の申告書などは、各人の遺産取得額が並んで表示されますので、どうしても比較をしてしまいます。
遺産分割の時はそれでよいと思ったが、改めて遺産の額を数字で比較してみると、自分はこんなに少ないのかと思ってしまうことがあります。
特に、相続人以外の自分の家族(妻や夫、子どもなど)に申告書を見せると、「何でこれだけしかもらわなかったの?」などと言われてしまうと、グラついてしまうこともあるでしょう。
そこで、遺産分割に疑念が湧いてしまうと、とんでもない争族に陥ってしまうことがあります。
「相続時にちゃんとした説明がなかったから、遺留分を請求したい」みたいなことを言いだすと、大変なことになってしまいます。
そもそも、遺産分割協議が終わってから、遺留分を主張することはできるのでしょうか?
原則としては、これは主張することはできません。
遺留分は、遺言や生前贈与などによって、その相続人の最低限の遺産取得分が侵された場合に問題となります。
遺産分割協議を行うということは、その協議の中で自分の意見を主張することができるわけで、それが合意に達したということは、遺産に対する権利が侵されたことにはならないからです。
また、よくあるのは、遺留分の対象になる財産額と、相続税の評価額は違うことによる勘違いです。
相続税の申告書を見ると、ずい分不公平な取り分になっているように見えても、それは相続税評価による評価減などが加味されているため、そう見える場合があります。
土地の評価などがそうです。
特に、小規模宅地等の評価減などをすると、居住用の宅地などは、80%も評価減されていて、20%の評価にしかなっていません。
その評価額で比べるとずい分少ないように見えますが、実は時価はもっと高いわけです。
遺留分の計算などは基本的には時価で行いますから、しっかり計算してみると、実は不平等ではなかった、ということもあるのです。
あまりよく知らない第三者の意見などで、争族になってしまうことは、本当によくありますね。
やはり相続、特に遺産分割などは、私たち専門家によく聞いて、説明を受け、よく納得した上で、進めていって欲しいと思いますね。
編集後記
遺留分という言葉は、ずい分知られるようになってきたため、安易に主張するような傾向があるように思います。相談するとそれを助長するような専門家もいますので、争族が発生しやすくなっているのではないでしょうか。親が遺してくれた財産、あるだけでもありがたい、という気持ちがあれば、そのようなことにはならないのではないかなあ、と思いますが。
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