実践!相続税対策
みなし相続財産について【実践!相続税対策】第350号
2018.09.05
皆様、おはようございます。
税理士の利根川裕行です。
2週連続のメルマガ担当です。気が付けば今週号は、キリの良い第350号となります。
第200号、300号という、キリのよい号数の時にも担当が回ってきました。少しだけ運がいいのかと思いたいところですが・・・。
そもそも3名で記事を書いているので、確率的に高いだけでした。
では、本日の「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
みなし相続財産について
「みなし相続財産」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
今回は、この「みなし相続財産」とはどのようなものかを、みていきたいと思います。
相続が発生した際には、被相続人が「所有していた財産」が相続財産となるのは、当然のことです。
一方、相続人らの固有の財産、と考えられているものでも、被相続人の相続財産としなければならないものがあります。
このような財産を「みなし相続財産」といいます。
そもそも相続人らの固有の財産であれば、被相続人の相続財産に組み込むことに、疑問を持つかも知れません。
ただ、被相続人が生前に、その財産の元となるお金を支出していたり、役務を提供しており、それらが相続発生後に、別の形で支払われるような財産があります。
被相続人が所有している財産ではないのですが、契約等により、相続発生後に、相続人らに支払われることになっているものです。
ちょっとわかりづらい言い方だったかも知れません。
具体的には、どのような財産でしょうか?
「みなし相続財産」の代表格は、生命保険金と被相続人の死亡退職金です。
被相続人が契約者として、保険料を納め、相続が発生したら、生命保険会社から、受取人に保険金等が支払われます。
この保険金が「みなし相続財産」となるのです。
生命保険金は受取人に帰属する固有の財産であり、本来の相続財産ではありません。したがって、遺産分割の対象にもなりません。
ただし、本来の相続財産でなくても、相続発生を原因として、相続人らに財産が移転するのは、本来の相続財産と変わりません。
そこで課税の公平を保つためにも、本来の相続財産ではない財産であっても、みなし相続財産として相続税の対象とすることになっています。
被相続人の死亡によって、勤務していた会社や、自分で経営していた会社から、相続人が退職金をもらうのも、同じです。
被相続人の本来の相続財産ではありませんが、被相続人が勤務していたことによって、発生する財産です。
これも死亡保険金と同様に、被相続人の相続発生を原因として相続人に財産が移転するので、みなし相続財産として、相続税の対象とされます。
なお、これらの死亡保険金と死亡退職金については、500万円×法定相続人の数 の金額までは非課税となっております。
これは、「みなし相続財産」だから非課税になるわけではありません。他にもみなし相続財産になるものがありますが、この2つに限っては、非課税規定があると割り切って抑えていただければと思います。
この「みなし相続財産」は、基本的には遺産分割協議の対象にはならない旨は、前述しました。
したがって、相続放棄をしたとしても「みなし相続財産」を受け取る権利はなくならないことは、覚えておくと良いかと思います。
「みなし相続財産」は、上記のように遺産分割の対象にならない、放棄しても受け取ることができる、などの特徴から、遺産分割の対策や、納税資金の準備に活用されることがあります。
相続対策上、特に生命保険の活用については、大きな武器となりえます。
分割でもめそうだとか、納税資金が足りなくなりそうだ、などの場合は、その活用を検討されてみると良いと思います。
その節は是非、ご相談ください。
編集後記
地元が、雷が多いことで有名な地域なので、雷には慣れているつもりでした。しかし、先週の、局地的に発生した雷は、地響きが何回もしていたこともあり、かなり怖かったです。移動中の場合、施設内に身を寄せ、落ち着くのを待った方が良いと思いました。
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