実践!相続税対策
死因贈与のメリット・デメリット【実践!相続税対策】第344号
2018.07.25
皆様、おはようございます。
税理士の宮田雅世です。
7月も後半ですが、終わりの見えない暑さが続いています。
朝から30度を超える暑さがいつまで続くのかと、先が思いやられます。
熱中症で亡くなられる方も増えていますから、皆さまも体調管理には十分お気をつけください。
では、本日の「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
死因贈与のメリット・デメリット
自分の財産を誰かにあげるときは、生前に渡す贈与や、亡くなってから渡す遺贈があります。
遺贈とは、一方的に自分の財産を、誰に、どれだけあげるか、ということを、遺言に記載して行います。
そして、これはいつでも何度でも、変更が可能です。
遺贈に似たものとして、死因贈与というものがあります。
これは、贈与者の死亡によって効力が生じる、生前の財産の贈与契約です。
死因贈与は、「私が死んだら、A土地をBに贈与する。」という契約を交わします。
したがって、遺言とは違い、あげる側ともらう側との合意の上で、成立するものです。
ただし、効力は贈与者が亡くなってから発生するため、贈与税ではなく、相続税の対象となります。
死因贈与のメリットとしては、遺言を書かなくてもよいことと、
相続人だけではなく、相続人以外の第三者にも、確実に財産をあげられる、ということです。
また、死因贈与といっても、贈与税はかからず、相続税の対象となりますから、場合によっては、贈与よりも節税効果は高いといえるでしょう。
逆に、死因贈与のデメリットは、遺言とは違い、契約内容を撤回できない場合がある、ということです。
死因贈与は、贈与者が生前に一方的に撤回することは可能とされています。
ただし、もらう側との合意の上に成立していますから、トラブルになってしまう可能性もあります。
また、負担付死因贈与という契約もあります。
これは、何かをしてもらう代わりに、自分が死亡したときに財産をあげる、という契約です。
この場合は、特別の理由がない限り、撤回はできません。
負担付死因贈与の例としては、自分の介護をしてもらう代わりに、亡くなった時には財産をあげる、というようなものです。
この場合、既に介護という負担を履行していれば、贈与の撤回はできなくなります。
なお、死因贈与の対象となる財産が、不動産の場合、遺贈と異なり、登録免許税や不動産取得税の税率が、高く設定されています。
法定相続人が遺贈を受けた場合は、登録免許税が0.4%、不動産取得税は非課税であるのに対し、
死因贈与の場合は、登録免許税2%、不動産取得税は4%となっています。
法定相続人以外の場合は、遺贈と死因贈与は、どちらも同じ税率です。
遺贈と死因贈与のどちらが良い、ということではありません。
ただ、口約束でこのような約束(死因贈与契約)を交わすことも、よくあると思いますが、いざ、相続が発生した場合には、相続人とのトラブルの原因になりかねません。
死因贈与をする場合は、しっかりと死因贈与契約書を作成しておくことが、重要になってきます。
編集後記
ベランダで洗濯物を干すときに、セミが横たわっていることがよくあります。ほうきでどかそうとすると、ものスゴイ勢いで動き出す、あの感じが大嫌いです。
子供のころは、セミやカブトムシをよく素手でつかんでいたものですが、今となっては、よくそんなことしていたなと感心します。
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