不動産の共有持分を放棄した場合 【不動産・税金相談室】

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Q 父が亡くなった際に、私たち兄弟の共有で相続した農地がありますが、私自身は遠方に住んでいるため利用価値がなく、自分の持分を手放したいと考えています。

贈与するのではなく、放棄によって兄に持分を移せるそうですが、放棄する場合には、贈与税は発生しないのでしょうか。

A 不動産を共有持分にしている場合、贈与という方法ではなく、持分の放棄という方法により、持分を移すことが可能です。

民法上、持分の放棄をした場合には、その持分は、他の共有者であるお兄様に帰属することとなりますので、贈与することなく持分を移せることになります。

ご質問のような農地の場合、その贈与には農地法上の許可が必要となりますので、許可が不要である持分の放棄による方法も有効でしょう。

ただし、税務上は持分の放棄も、贈与とみなすこととされていますので、税金の取扱いにおいては、贈与と同様に持分を取得したお兄様に、贈与税が発生することになります。

つまり、贈与と放棄のいずれの場合であっても、持分を取得した方に贈与税の負担が生じるわけです。

注意したいのは、将来、その不動産を売却した時の税金の計算です。

贈与により不動産を取得した場合には、贈与した方の取得日・取得費を引き継ぐこととされていますが、持分の放棄により不動産の取得をした場合には取得日・取得費を引き継ぐ事はできないのです。

そのため、将来の売却時に、所有期間の長期・短期の判定をする際には、どちらの方法により共有持分を移したかによって、所有期間の判定が異なることになります。

また、持分の放棄の場合は、無償で不動産を取得しますから、その不動産の取得費は0円となります。

この場合、譲渡所得の計算では概算取得費(売却金額の5%)によって取得費を計算することができるため、この概算取得費を用いて計算する必要があります。

《担当:樋口》

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