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不動産 税金相談室

会社所有不動産を個人が承継する場合【不動産・税金相談室】

会社所有不動産を個人が承継する場合【不動産・税金相談室】

2019.09.13

Q 現在、父の財産分与について家族で話しています。父は会社を経営していますが、会社は長男が承継します。
2人兄弟の私は次男ですが、会社が持っている古アパートは、私が承継するということで話が進んでいます。

古アパートの土地建物は、父の役員退職金の一部として父に現物支給した上で、将来は私が相続することになりますが、これらの一連の行為について、税金の扱いはどうなるでしょうか? このような方法でいいでしょうか?

A 役員退職金として不動産を現物支給するとのことですが、これには様々な税金が関わってきます。

まず、現物支給とは言っても、税務上はアパートの土地建物を売却して、その代金で退職金を支払った、という取引に分解されます。

したがって、まずは土地建物の時価を算定しなければなりません。この時価が、会社の帳簿に載っている、土地建物の簿価よりも高ければ、売却益が発生し、これに法人税等がかかってきます。

また、建物には消費税がかかってきます。

さらに不動産を売却する場合は、所有権移転登記をしますので、登録免許税および司法書士報酬などもかかってきます。

また、不動産取得税もかかってきます。

登録免許税および不動産取得税は、購入する方、すなわちお父様が負担することになります。

次に、退職金には所得税がかかってきます。
ただし、退職金は税務上は優遇されており勤続年数に応じた退職所得控除額(20年まで年40万円、それ以上の年数は年70万円)を控除した後、その1/2に課税されることになっています。

これらの税金を支払ってようやくお父様の所有になるわけですが、これを相続時に取得するのであれば、当然、そこで相続税がかかってきます。

以上のように不動産を動かすと、様々な税金がかかってきます。

そこで、上記のような方法によらず、会社分割を活用する方法も考えられます。

会社分割とは、会社を分割会社と、分割承継会社に分割する組織再編の手法です。

たとえば、御社の事業に本業であるA事業と、上記の不動産賃貸事業の2つがあるとしたら、A事業を本体に残して(長男が承継)、不動産賃貸事業を切り離してB社を作り、これを次男であるご質問者が承継していく、というようなやり方です。

会社分割は一定の要件を満たせば、税制適格分割となり、税務上特例措置があります。
たとえば、分割されるB社へ不動産を簿価で引継ぐことができます。
すなわち、売却益が発生しないということです。

不動産取得税も、適格分割であればかからないことになっています。
さらに、適格分割であれば、株主に対しても課税されません。

このような会社分割をした上で、時間をかけてお父様の持つB社株式をご質問者に移していくような対策も考えてみてはいかがでしょうか

《担当:北岡》

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