不動産 税金相談室
不動産譲渡の取得費加算 【不動産・税金相談室】
2019.05.17
Q 昨年、父の相続により取得した賃貸物件を譲渡することになりました。
購入した時の売買契約書などはあります。他に譲渡所得を計算するために、必要な書類はありますか。
A 譲渡所得は、不動産を売った金額から、取得した金額や譲渡にかかった費用を差し引いて計算します。
そのため、これらの金額を証する書類が必要となります。
主な必要書類は次のとおりです。
● 売却時の売買契約書
● 取得時の売買契約書
● 譲渡費用の領収書など
売却価格は、売買代金だけではなく、未経過分の固定資産税を受け取った場合は、これも売却価格に加算します。
仲介業者を通して売買されている場合は、固定資産税清算金などの書類もいただいていると思います。
取得費は、購入時の金額をそのまま差し引くことはできません。建物の場合は、減価償却費を差し引いた後の金額が、取得費となりますので、減価償却の計算が必要となります。
また、取得するために支払った不動産取得税、登録免許税(登記費用含む)印紙税なども本来取得費とすることができますが賃貸物件であるため、すでに経費算入済みであると思われますので、取得費とすることはできません。
取得費に関しては、毎年確定申告の際に、減価償却の計算表を付けているはずですので、それを参照することになります。
譲渡費用は、仲介手数料、印紙や立退料など、売るために直接かかった費用ですが、これらは売却益から控除することができます。
修繕費や固定資産税のような、維持管理費用は、譲渡費用とはなりませんので、ご注意ください。
そして、今回の譲渡は、相続で取得した不動産の譲渡に該当するため、相続税が発生していた場合は、その相続税の一部を、取得費に加算することができます。
この取得費加算の特例は、相続税の申告期限から3年を経過する日までに、譲渡することが条件となりますので、今回の場合、適用可能となります。
取得費加算の計算をするためには、相続税の申告書が必要となります。譲渡所得の申告書にも、その写しを添付しなければなりませんので、準備しておく必要があります。
《担当:宮田》
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