不動産 税金相談室
共有貸家の敷地の評価について【不動産・税金相談室】
2017.06.16
Q 長年連れ添った夫の相続に関する質問です。
夫が所有していた土地(400m2)に、夫婦共有でアパート建物を所有していました。持分割合は、夫3に対して私が1です。アパートは全室入居中です。私から夫へ地代は支払っていません。
相続税の申告にあたり、この土地は敷地全体を貸家建付地の評価としてよいのでしょうか?
また、小規模宅地等の特例は限度面積(200m2)まで適用可能なのでしょうか?
夫の土地、建物は私が相続し、引き続きアパート経営をしています。
A ご質問の場合、夫婦間で地代の授受はないとのことですので、妻は夫から使用貸借により土地を借り受けていることになります。
この場合、夫が所有する土地のうち、貸家の夫持分3/4に対応する部分である300m2については、貸家建付地として評価します。
ただし、妻の持分1/4に対応する部分である100m2の土地は、使用貸借のため、貸家建付地評価はできず、自用地として評価します。
使用貸借とは、目的物を無償で使用収益する貸借関係をいいます。
通常は、親子・兄弟・夫婦間など、特別な人的信頼関係に基づくものです。
使用貸借の目的となっている土地については、使用貸借により借り受けている借主(妻)の使用権の価額はゼロと考え、使用貸借により貸し付けている貸主(夫)は、その土地を原則、自用地として評価します。
さらに、小規模宅地等の特例についてですが、貸付事業用の宅地の場合、最高200m2まで50%の評価減が可能です。
ご質問の場合、被相続人である夫の貸付事業を妻が引き継ぎ貸付事業を行っていること。
また、自用地部分についても、被相続人と生計一である妻の貸付事業の用に供されていたこと。
などから、貸家建付地部分と自用地部分のいずれについても、この特例を適用することができます。
ただし、全体の敷地面積が400m2であり、限度面積の200m2を超えてしまうため、評価減は200m2が限度となります。
この場合においては、まず自用地部分の100m2全部について評価減を行い、貸家建付地300m2のうち100m2について評価減を適用するのがよいでしょう。
自用地部分の方が、評価が高いからです。
なお、貸付事業用の小規模宅地等の特例を適用するには、相続税の申告期限までその宅地を所有し、貸付事業を継続している必要がありますので、ご注意ください。
また、居住用(自宅)の宅地で小規模宅地等の特例を使う場合には、別途、面積制限がありますので、そちらもご注意ください。
《担当:宮田》
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