不動産 税金相談室
収用により取得した資産の譲渡【不動産・税金相談室】
2016.11.11
Q 2年前に、国から道路拡張のため、15年以上前から所有していた土地建物を収用され、補償金をもらいました。その補償金で新たに、土地建物を取得しましたが、この時は、収用の買換え特例を使い、税金は出ませんでした。
今回、この買換えた土地建物を売却したいと考えていますが、税金はどのようになりますか?
2年前に国に譲渡した際の価格(補償金)と、新たに取得した資産の価格は、次のとおりです。
譲渡価格(補償金) 1億5,000万円
譲渡した資産の取得費 2,000万円
買換えた資産の取得価格 1億6,000万円
今回、売却する際の価格は 1億3,000万円と、買い換えた時の金額より低くなってしまいますが、税金は出るのでしょうか?
A 土地建物を売却した場合の税金は、売却益に税率を乗じて計算します。
また通常、売却益は売却価格から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。
ただし、今回のように買換え特例を適用した場合に差し引く取得費は、新たに取得した資産の取得費(1億6,000万円)ではなく、譲渡した資産の取得費(2,000万円)を引き継いで計算することになります。
具体的には、次のように計算します。
●買換え資産の取得費=2,000万円+(1億6,000万円-1億5,000万円)=3,000万円
(今回の取得費の計算にあたって、減価償却費は考慮していません。)
したがって、今回の売却益を計算すると、次のようになります。
●売却益= 1億3,000万円(売却価格)-3,000万円(取得費)= 1億円
上記で算出した売却益1億円に税率を乗じることにより、税金が計算されます。
なお、土地建物の譲渡の場合は、所有期間に応じて、税率が異なります。
通常、所有期間はその資産を取得した日から計算されます。ただし、今回のように、収用の買換え特例を使って取得した資産の場合は、譲渡資産の取得日を引き継ぐこととされています。
買換え前の譲渡資産の所有期間は、15年以上とのことですので、これを引き継ぐと5年超の長期譲渡となり、適用税率は、所得税15%住民税5%の計20%となります。(ちなみに5年以内の短期譲渡ですと、計39%です)
したがって、今回の税金は、1億円×20%で、2,000万円となります。
収用の時に買換え特例を適用して、税金がかからなかった分、今回の売却では、取得費が低くなり、売却益が増えて税金が高くなってしまいます。
買換え特例を使った資産の譲渡は、この点、注意が必要です。
《担当:宮田》
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