不動産 税金相談室
空き家譲渡の特例と小規模宅地特例の併用 【不動産・税金相談室】
2019.10.04
Q 父が一人暮らししていた不動産を相続しましたが、売却を検討しています。
空き家の 3,000万円控除の条件など調べたところ、使えそうなので、適用しようと思っています。
相続税の申告期限はまだ先ですが、申告期限まで待たなくても売却は可能でしょうか。
また、相続税の申告では、居住用の小規模宅地の特例を適用します。
私は仕事で転勤が多いため、長い間、賃貸暮らしです。
空き家の譲渡の 3,000万円控除の特例と、相続税の小規模宅地の特例の併用は可能でしょうか。
A 空き家の譲渡の 3,000万円控除の特例と、相続税の小規模宅地の特例の併用は可能です。
ただし、これらの特例にはご存じのように要件がありますので、それぞれの特例要件を確認する必要があります。
空き家譲渡の 3,000万円控除については、細かな要件があります。すでにご確認いただいているので、ここではポイントのみ、あげてみます。
・昭和56年5月31日以前に建築されていること
・区分所有建物登記がされていない建物
・相続開始の直前において、被相続人がひとりで居住していたこと
・相続から譲渡のときまでに、貸付けや居住の用に供していないこと
・相続または遺贈により取得した被相続人の居住用であった建物、土地
・譲渡の時において、一定の耐震基準を満たすものであること、あるいは取壊して更地で譲渡すること
・売却代金が1億円以下であること
・相続の開始があった日から、3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
などがあげられます。
相続税の申告期限まで待たなくても、相続開始から3年を経過する日までに譲渡すれば、この特例の適用は可能となります。
一方、相続税申告の方では、居住用の小規模宅地の特例を適用されるとのことです。
上記、3,000万円控除の特例との併用は可能です。ただし、小規模宅地の特例についても要件がありますので、確認してみましょう。
空き家譲渡の特例との併用であることから、被相続人の居住用であり、かつ別居親族である、いわゆる「家なき子」が相続した場合には適用することができます
家なき子とは、被相続人と同居していない親族が、持ち家に住んでいない人をいい、要件を満たすことにより、土地の評価額が80%減額されます。
この場合、被相続人に配偶者がいないこと、被相続人の居住用家屋に同居する相続人(親族)がいないこと。
適用を受けようとする者は、相続開始前3年以内に国内にある自己または親族等が所有する家屋に居住したことがないこと等が、条件となっています。
また、その宅地を相続税の申告期限まで所有している必要があります。
長年、賃貸で生活されていたとのことですので、家なき子として、小規模宅地の特例の適用要件をほぼ満たしていると思われます。
ただし、相続税の申告期限までは所有していなければいけませんので、売却を急ぐと、こちらの適用ができなくなります。
空き家の譲渡の 3,000万円特別控除と、相続税の小規模宅地の特例を併用する場合は、それぞれの適用要件を確認していただき、売却のタイミングには十分ご注意ください。
《担当:宮田》
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