税金を払うと、なぜ会社が強くなるのか?
東京メトロポリタン税理士法人
税理士 北岡 修一
当事務所では、「会計理念経営の追求」ということを、ミッション(使命)としています。
その中に「税金を払わないと、内部留保が貯まらない!」という言葉を掲げています。
すなわち、税金を払えば払うほど、内部留保が貯まり、会社は強くなる、ということを言っているのです。でも、これは一般的にはなかなか理解されにくいことです。
「税金を払ったら、儲けたお金がなくなってしまうじゃないか?」
「なぜ、それで会社が強くなると言うのだ?」「なぜ、お金が貯まると言うのだ?」
こう思っている方が、多いのではないかと思います。
そこで、このことを理解していただくために、以下できるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
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会社の本当の利益とは?
皆様、会社を経営していて、儲けたいと思いますか?儲けるという言葉が品がない、というのであれば、利益を上げたいと思いますか?
おそらくほとんどの経営者は、儲けたいと思っているはずです。これは言ってみれば当然のことで、利益がなければ会社を継続していくことができないのです。では、儲かった=利益が出た、というのはどういうことを言うのでしょうか?
粗利益? 営業利益? 経常利益? それとも当期純利益? どの利益が出た時に本当に儲かったというのでしょうか?
多くの方は、おわかりでしょうが、当然、当期純利益ですよね。当期純利益は最終的な利益ですので、これが出て初めて儲かったと言えるわけです。こう言えば当然、経営者の100人中100人が、当期純利益を上げたいと思うはずです。
しかし、当期純利益は、次のように計算することをおわかりですか?
そうですね。税引前の利益から、法人税等を引いて初めて本当の利益が出るのですね。こんな簡単な計算ですが、これを理解していない経営者がとても多いのです。
(本当の)利益を上げたい。でも税金は払いたくない...これはまったくの矛盾であることは、おわかりいただけると思います。税金を払わないと本当の利益は出ないのです。
利益を上げたいの?それとも、税金を払いたくない=利益を上げたくないの?
あなたは、どちらでしょうか? -
内部留保って何?
内部留保という言葉は、よく聞くと思います。その正確な意味は、ご存知ですか?
「内部留保って、会社の中に貯めているお金でしょう?」なんてことを言う経営者もいます。もし、あなたもそう思っていたら、是非ここで理解して欲しいと思います。内部留保とは、税引き後利益の内、会社内部に残した利益の蓄積のことを言います。
税引き後利益から、さらに出て行くものは何があるの?と思うかもしれませんが、これは、株主への配当が主なものです。
税引き後利益から、株主への配当を引いた残りの利益が、バランスシートの純資産の部(自己資本とも言います)に、利益剰余金として、蓄積されていくものを内部留保と呼んでいるのです。(下図参照)
この内部留保を、蓄積していくことが、会社を強くしていくのです。
なぜ、内部留保を蓄積すると、会社が強くなるのでしょうか?
上のバランスシートを見ればわかるように、内部留保を増やすと当然、自己資本が増えていきます。
自己資本が増えれば、左右バランスしていますから、左側の資産も増えます。
あるいは、負債を減らすことができます。
自己資本というのは、返さなくていいお金です。負債は返さなければいけません。
この返さなくていい自己資本を、増やせば増やすほど、会社の資金繰りは楽になり、ちょっとやそっとではつぶれない、強い会社になるのですね。
それが、内部留保を蓄積すると、会社が強くなるということなのです。
おわかりいただけましたでしょうか? -
内部留保は、何からできているの?
内部留保を増やすと、会社が強くなる、というのは理解いただいたと思います。
ところで、この内部留保は、何からできているのでしょうか?
すでに説明しているので、わかっているかとは思いますが、そうです、当期利益からできているのですね。しかも、当然ですが、税引き後の当期利益からできています。 -
強い会社になるための3段論法
以上で、もうおわかりだと思いますが、まとめてみると次のようになります。
- 会社を強くするためには、内部留保を蓄積していく必要がある。
- 内部留保は、税引き後当期利益からできている。
- 税引き後当期利益を上げるためには、利益を上げ、税金を払わなければならない。
この3段論法により、会社を強くするためには、税金を払わなければならない、ということをご理解いただけると思います。
しかも、税金を払っていくと、お金まで残っていくのです。
不思議な感じがするかも知れませんが、これは至極当然のことです。
なぜならば、税金は儲かった利益の40%しか取られないからです。すなわち、60%は残るのです。理論的には...
この点は次項でもう少し掘り下げてみたいと思います。 -
なぜ税金を払いたくないのか?
さて、以上のように会社を強くするためには、税金を払わなければならない、とわかったとしても、いざ税金を払う段になると「やはり払いたくない。何とかならないか?」と思ってしまう方が多いでしょう。
それはなぜなのか?
- 国が無駄遣いをしているので心情的に払いたくない。税率が高すぎる。
- せっかく苦労して稼いだお金なのに、みすみす持っていかれたくない。
- 税金を払うのがもったいなく感じる。
など、いろいろな理由があると思います。
一番上の理由は、問題ではありますが、日本で仕事をしている以上、日本の法律に従わざるを得ません。この問題については、別なところで議論なりするものです。
それ以外の理由については、今までの私の説明を聞いていただければ、決してもったいないものではない、と思っていただけるはずです。ただし、私の説明を十分ご理解していただいても、税金を払いたくない場合があります。
それは、税金を払うお金がないから、です。
そう、まじめに仕事をしている会社が、税金を払いたくない一番の理由は、税金を支払うお金がないのです。
お金があったとしても、それは次の仕入れ資金であったり、開発費や事業の仕込みに当てたいお金なのです。では、なぜ利益が出ているのに、お金がないのでしょうか?
それは、会計や税務上の利益というのは、お金の動きとは連動しないからです。
すなわち、売上は立ったがまだ未回収であったり、仕入れはしたが、まだ売れていない在庫になっていたり、さらには、儲かったお金が、建物や機械や、車、備品などの資産になっていて、現金として残っていないのです。だから、税金を払いたくない、いや、払えないのです。
すなわち、税金の問題は、資金繰りの問題に大きく関係しているのです。
手元にお金があり、今までの私の説明を理解していただければ、きっと喜んで税金を払っていただけることでしょう。(私は税務署ではありませんが...笑)でも、それだけの余裕がない・・・だから節税して、結局は強い会社になれない、それではあまりにも残念ですね...
ですから、私は税金を払って強い会社になるためには、まずは、資金繰りを改善する、財務体質を良くすることが大事だということを強調しています。どうやって資金繰りを改善するかは、ここでは詳しく述べませんが、できるだけ利益とキャッシュフローを近づけていく、ということを、項目ごとに地道に改善していくしかないでしょうね。
先ほどの強い会社になる3段論法の最後に、是非、次の項目を付け加えてご理解いただければと思います。
- 税金を払うためには、資金繰りを徹底して改善する努力を行なう。
これを徹底していけば、税金を払ってもなおかつ60%のキャッシュを残すことができるのです。
すぐにできなくても、何年かかけて資金繰りを改善することにより、理論どおり、必ず60%ものキャッシュが残っていくのです。
是非、それを目指して、日々努力をしていっていただければ、すばらしい会社になるはずです。

