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法人税率の引下げの代償に、欠損金繰越控除が縮小【実践!社長の財務】第586号

法人税率の引下げの代償に、欠損金繰越控除が縮小【実践!社長の財務】第586号

2015.01.26

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

今回も、平成27年度の税制改正大綱の中から、気になる改正を拾って、書いてみたいと思います。

それでは、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。
 

法人税率の引下げの代償に、欠損金繰越控除が縮小

法人の実効税率を20%台に引き下げよう、というのは常々新聞等でも書かれてきたことです。

これが今回の税制改正案に入ってきました。

法人税の税率を、平成27年4月1日(平成27年度)以後に開始する事業年度から、23.9%(現行25.5%)に▲1.6%引き下げる。

国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)は、平成27年度に32.11%(▲2.51%)、平成28年度に31.33%(▲3.29%)となる。

さらに、引き続き、平成28年度以降の税制改正においても20%台まで引き下げることを目指していく...

ということですね。

法人実効税率を下げるのはいいのですが、その代替財源探しも当然、行われています。

その代表的なものが、欠損金の繰越控除の縮減です。

現在、中小法人は、その年度に所得が出た場合で、繰越欠損金がある時には、その欠損金を所得から控除することができます。

所得の全部を控除することができ、所得よりも繰越欠損金が多い場合は、課税所得はゼロになります。

ところが、資本金1億円超の大法人および、大法人との間に100%支配関係がある会社などは、繰越欠損金を全額控除することができないのです。

現在は、所得の80%までに制限されています。

すなわち、所得の20%は、繰越欠損金があっても税金を払え、ということです。

この80%まで、という制限が、今回の税制改正案によると、平成27年度から65%に、平成29年度からは50%に引き下げるということになっています。

繰越欠損がある、ということは、まだまだ業績回復途上で、大変厳しい状況なのですが、所得の50%については税金を払え、ということなのです。

これは、なかなかキツイですね。

弊社の顧問先でも、資本金1億円超の会社で、リーマンショックで、大きな欠損を出した会社があるのですが、これをやられてしまうと、資金的にも大変厳しい状況になってきます。

真剣に、資本金を1億円以下に減資しようか、考えています。
ただ、外部株主がいるので、なかなか簡単ではないのです。

このように欠損金の控除できる割合を下げる代わりに、欠損金の繰越期間を、現在の9年から10年に延長する、という改正案も入っています。

ただ、1年程度の延長では、50%しか控除できないのではやはり厳しいと思います。

中小法人は、欠損金の控除制限は受けないですが、繰越期間の延長は、大法人同様、恩恵を受けることができます。

今回の税制改正では、減税の代替財源は、中小法人は除かれ大法人から取る、という流れになっています。

これは、アベノミクスが中小法人にはまだ、いい影響を与えていない、ということを政府も認めている、ということでしょうね。

ただ、資本金1億円超であっても、同族会社で中小法人的であるところも、多いのですがね...。そこはちょっと可哀想な気がします。

編集後記

実は父親も同業なのですが、ちょっと体調を崩して入院し、その業務を手伝うことになりました。ちょうど確定申告の前の時期、どんどん資料などが集まってくる時期なので、結構大変です。
ただ、同業だったからこそ、こういうことで親孝行ができるということでもあるので、よかったなあ、などとも思いつつ...。

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