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実践!社長の財務

不採算部門の撤退【実践!社長の財務】第403号

不採算部門の撤退【実践!社長の財務】第403号

2011.07.25

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

今年の税制改正は、6月末に一部改正されましたが、重要な改正はほとんど来年へ先送り。

ただ、法人関連で言えば、雇用促進税制が決まったのが、大きな目玉ですかね。

簡単に言うと、次のような税制です。

・対象:2011年4月1日~2014年3月31日に開始する各事業年度

・要件:期末の雇用者数が前期末に比べ5人以上(中小企業は2人以上)及び10%以上増加しているなど

・税額控除額:20万円×純増雇用者数
ただし、法人税額の10%(中小企業は20%)が限度

中小企業の場合、10%以上かつ2人以上、社員を増やせば税額控除が受けられるわけです。

ただし、2年間会社都合による退職がない場合などの条件もあります。

景気も少しずつ回復してきている感もあり、是非、上記の税制なんかも活用を考えると、いいのでは? と思います。

 
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!

不採算部門の撤退

会社が赤字になってしまった場合は、まずは何としてもその赤字を食い止めることです。

怪我をしたらまず出血を止める、止血することが最初にやることです。

会社で言えば、まずは出費、無駄な出費を止めること。

不採算な事業を、見直すこと、場合によってはやめること、です。

撤退の際、気をつけなければならないのは、その部門、事業が赤字だからといって、撤退すれば必ずしも会社の赤字がなくなるわけではない、ということです。

限界利益という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

次のような計算になります。

1.売 上 高   1,000
2.変 動 費    400
─────────────
3.限界利益(1-2)  600
4.固 定 費    800
─────────────
貢献利益(3-4) ▲200
==========

ある事業の損益が、上記のとおりだったとします。

変動費とは、売上に応じて変動する費用です。
仕入や荷造発送費などは、売上によって変動しますね。

固定費は、その名のとおり、売上の増減にかかわらず変わらない経費です。

人件費や家賃、リース料などは固定費ですね。

限界利益とは、売上から、変動費だけを引いた利益を表わします。

撤退を検討する時は、この限界利益がどの程度出ているかが、1つの判断になります。

上記の事業が赤字だから、撤退したとするとどうなるでしょうか?

様々な条件は考えず、単純に言ってしまえば、撤退によって、売上はゼロになり、変動費もゼロになるが、固定費はそのまま残ってしまいます。

すなわち、限界利益600がなくなって、固定費800だけが残りますから、▲200が、▲800に拡大してしまう、ということになります。

もちろん、実際のビジネスでは、単純にそうはならないでしょうが、考え方はそういうことです。

この場合であれば、限界利益は出ているのであるから、撤退よりは、まずは、固定費800を、どれだけ減らすことができるのか、それをやるべきですね。

また、撤退を考えるのであれば、撤退することにより固定費をどれくらい減らせるのかを考えます。

たとえば、お店をやめるのであれば、

固定費である家賃が減る、
月次で受けていたレンタル料や、様々なサービス費、
パートの人件費、消耗品費などが減る、
 
こういうことを考えます。
これで、どれだけの固定費を減らせるか、です。

それでも固定費が減らないのであれば、撤退することにより、余計赤字が膨らんでしまいます。

その部門の撤退により、他の部門(製造や物流や管理等)の稼働率が落ちて、悪い影響を与える、という弊害も出てきます。

要は、その部門の部門別損益の最終値だけ見ていては、撤退の判断はできない、ということですね。

固定費や他の部門への影響も考えておかないといけない。

また、その部門の人材をどうするか、という問題もありますね。
全社員に与える心理的な影響もあります。

1部門の撤退、というのは本当に大変な決断ですが、上記損益計算(直接原価計算)などを、是非、使っていただくといいと思います。

編集後記

子供たちも夏休みに入って、いよいよ夏本番というところですね。皆様は、夏休みの計画は立てているでしょうか?
我が家は娘の短期留学、コンクールなどがあり、どうなるかまったく予定が決まらず...。
無計画のまま夏に突入、という感じですかね。(笑)

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