実践!相続税対策
空き家と相続税【実践!相続税対策】第410号
2019.10.30
おはようございます。税理士の利根川裕行です。
最近、メディアでも空き家問題についてクローズアップされる機会が多くなっているように感じます。
空き家の発生要因の代表的なものとしては、相続や老人ホーム等の施設入居を機会とすることが多いようです。
今回、空き家に係る相続税の論点について、基本的な部分についてみていきたいと思います。
自宅が空き家となった場合、相続税にどのような影響を及ぼすでしょうか?
自宅建物と宅地の相続税の評価方法に、変わりはありません。
自宅建物は自用家屋評価、自宅宅地は自用地評価です。
自用家屋の評価額は、固定資産税評価額となり、自用地の評価額は、路線価地域の場合、原則、路線価×地積で計算されます。
空き家になっている場合は、一定の場合を除いて、小規模宅地の特例が使えないということを、押さえておきましょう。
居住用の小規模宅地の特例は、要件を満たせば宅地の評価額を330m2まで80%減額できる特例です。
相続税対策を考える際、宅地については、まず小規模宅地の特例が使えるかどうかの検討を行います。
この特例が使えるか否かで、相続税額に大きな影響が出る可能性があるからです。
残念なことに空き家の状態で相続が発生すると、基本的には、この小規模宅地の特例が使えないのです。
しかし、相続発生時に空き家であったとしても、小規模宅地の特例が使えるケースがあります。
それは、被相続人が老人ホーム等の施設に入所したために、自宅が空き家となっていた場合です。
この場合は、下記の要件を満たすことにより、空き家であっても居住用の小規模宅地の特例の対象となります。
・介護が必要なため、入所したものであること
・自宅が他の者に貸し付けられていないこと
ただし、相続の直前において、要介護または要支援の認定を受けていなければなりません。
要介護等の認定については、相続の直前に認定を受けていればよいので、施設入所時点では、認定を受けていなくても問題ありません。
また、施設入所後の空き家の利用状況ついては、基本的には、施設入居直前の自宅の状況が保たれている必要があります。
上記の要件を満たすことで、空き家であっても、居住用宅地に該当することになります。
居住用宅地に該当すれば、相続開始後の要件、つまり取得者要件と継続要件を満たすことで、小規模宅地の特例を使うことができます。
特に取得者要件については、自宅が空き家となっているくらいですから、配偶者や同居親族がいないケースが多いと考えられます。
そうなると、基本的には、家なき子が相続することで、取得者要件を満たすことになります。
家なき子が相続した場合、継続要件は、相続税の申告期限まで保有していればよいことになっています(居住の必要はありません)。
(家なき子とは、については、今回割愛します)
空き家になるとわかった時点で、そのままの状態にしておくことは、税金の計算上も、いいことはありません。
建替えやリフォームをして、賃貸事業を開始するのか、売却することも検討した方がよいケースもあるでしょう。
空き家対策は、早目の対策が肝要ですので、空き家になるとわかった時点で、専門家にご相談されることをお奨めいたします。
編集後記
先日、出勤途中に突然の目まいに襲われ、立っていられなくなり、エレベーター前でうずくまってしまいました。グルグル回っている感じが治まらなかったため、しばらくその場にいたのですが、誰からも声をかけられることはありませんでした。
おそらく二日酔いで、つぶれているように見えたのでしょう(笑)。ともかく、大きな病気ではなさそうなので一安心です。
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html