実践!相続税対策
老人ホーム入居で空き家だった場合の3,000万円控除【実践!相続税対策】第367号
2019.01.02
あけましておめでとうございます。
税理士の北岡修一です。
本年も【実践!相続税対策】を、よろしくお願い申し上げます。
いよいよ平成も残すところ4カ月となってまいりました。
バブル絶頂期から始まり、それが崩壊して長い低迷期間があった30年でした。
バブル時代に作られた、相続税や譲渡所得税を始めとする資産税関連も、この30年間でずい分変わってきましたね。
これからも民法の相続に関する改正などを受けて、さらには、相続と贈与の一体的な課税を目指して、資産税は大きく変わっていくのではないかと思います。
本メルマガでは、それらの変化に関しても、できるだけ皆様の立場から、わかりやすい解説を心がけて、当社の資産税チームメンバーで、書いていきたいと思います。
本年も引き続き、何卒ご愛顧の程、よろしくお願いいたします。
では、新年最初の「実践!相続税対策」始めたいと思います。
老人ホーム入居で空き家だった場合の3,000万円控除
被相続人がひとりで住んでいた自宅が、相続によって空き家になってしまった場合、
その自宅を相続した者が、その自宅を売却した場合には、譲渡益から3,000万円を控除することができる、という特例があります。
これについては、本メルマガ第333号(2018/05/09)に、その要件などを詳しく書いていますので、是非、ご確認いただければと思います。
相続後、空き家となって放置されるのは、社会的にも問題がありますので、耐震リフォームをして活用するか、
さもなくば取壊して更地にして、売却するかして欲しい、それを後押しするための特例です。
この空き家の3,000万円控除の特例は、あくまで被相続人が亡くなる直前まで、ひとりで住んでいた自宅であることが条件です。
したがって、老人ホームに入居してしまった場合には、亡くなる直前まで住んでいないことになりますので、相続後、売却したとしても、3,000万円控除はできないことになっていました。
この特例を活用するためには、老人ホームには入ってはいけない、最期までひとりで住んでなければいけない...考えてみれば、ちょっと過酷な規定かも知れませんね。
これが、今回の平成31年度税制改正大綱で、改正されることになりました。
すなわち、老人ホーム等に入っていても、要介護認定等を受けていれば、相続後譲渡した場合に、3,000万円控除の特例を使えるということです。
上記メルマガ第333号でも、居住用の小規模宅地の特例(80%評価減)は、老人ホームに入っていても使えるのに、
空き家の3,000万円控除は使えない、というのはおかしい、というようなことを書きましたが、ようやくそれが改正されるわけですね。よかったと思います。
ただし、次の条件があります。
それは、被相続人が老人ホーム等に入居した時から、亡くなるまでの間に、被相続人が一定の使用をしており、かつ事業用や賃貸用にしたり、あるいは被相続人以外の者が居住したりしないこと、が条件です。
被相続人が一定の使用をする、ということは、被相続人の荷物や家財が置いてあること、などで良いのかと思います。
あくまで、何にも使わない、誰も住まない、空き家であるということが条件ですね。
上記の条件および、第333号に書いてある他の条件を満たせば、相続後、譲渡した時に3,000万円控除の特例を使えることができるようになります。
ただし、上記の改正は平成31年4月1日以降に行う譲渡に適用されます。
現在、空き家になっている対象物件の譲渡を検討している方は、4月1日まで待つ必要がありますね。
編集後記
上記のように税制改正大綱では、他にもいろいろと改正が出されています。
東京メトロポリタン相続クラブでは、2月8日(金)14:30から『平成31年税制改正と確定申告直前注意点』について、セミナーをしようと考えております。
詳しくは来週以降、ご案内しますが、ご興味のある方は、是非、スケジュールに入れておいていただければと思います。
また、当相続クラブに入られていない方は、是非、上記相続クラブのHPより、ご入会をお申込みの上、セミナーにもご参加いただければと存じます。
では、本年も本メルマガおよび東京メトロポリタン相続クラブを何卒よろしくお願いいたします。
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