実践!相続税対策
基礎控除額以下でも納税がある場合【実践!相続税対策】第343号
2018.07.18
皆様、おはようございます。
税理士の宮田雅世です。
7月もまだ半ばですが、連日35度超の猛暑日が続いています。
朝から暑いですが、熱中症にならないように、しっかり水分補給をし、長時間の暑いところは避けて、うまく乗り切っていきましょう。
では、本日の「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
基礎控除額以下でも納税がある場合
相続税は、財産から債務を控除した金額が、基礎控除額以下であれば、税金はかからないと判断します。
ただし、遺産分割協議の内容によっては、相続税負担がある場合もあります。それは、債務が多い場合です。
亡くなる数年前にアパートを建築して、これに対する借入金がある場合で考えてみます。
遺産は、預貯金が1億円、不動産が1億円、これに対する借入金が2億円とします。
相続人が子供2人(兄と弟)であり、兄が不動産とそれにかかる借入金を相続し、弟が預貯金を相続したとします。
全体の相続財産は2億円、債務は2億円であるため、財産から債務を控除するとゼロとなり、相続税はかからないと思いがちです。
しかし債務は、それを承継した兄が相続した財産の額からしか、控除できないのです。
兄が相続した財産は、不動産の1億円ですので、そこから2億円を控除するとマイナス1億円になりますが、相続税の申告上は、課税価格はゼロ、ということになります。
兄のマイナス分は、弟の財産から控除することはできません。したがって、弟の課税価格は1億円となります。
相続税の計算は、この弟の1億円から、基礎控除額4,200万円(3,000万円+600万円×2)を控除した 5,800万円に対して課税されることになります。
以上のように、遺産総額が基礎控除額以下であっても、遺産分割の内容によっては、相続税が発生する場合がある、ということです。
とは言え、遺産分割は相続税の有無だけで決められるものではありません。
多額の借金がある場合などは、基礎控除額以下であるからと安心せず、遺産分割の仕方によっては、納税があるかも知れないと、考えて、事前対策しておくことが必要ではないでしょうか。
編集後記
約一ヶ月にわたるサッカーのワールドカップは、フランスの優勝で幕をとじました。フランス優勝は20年ぶり2度目だそうですが、フランス大会がつい最近のことのように思えていたため、20年前あることが信じられません。時が経つのは本当に早いですね。
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