実践!相続税対策
養子にすると相続税が高くなる?【実践!相続税対策】第290号
2017.07.12
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
7月3日に、平成29年分の路線価が公表されています。
是非、自宅や所有する土地の路線価を確認してみてください。
<国税庁路線価図ページ>
http://www.rosenka.nta.go.jp/
東京は結構上がっていますね。
全国平均0.4%アップに対し、東京は3.2%のアップです。
ただ、全国で前年より上昇したのは東京や宮城県をはじめ、
13都道府県のみであり、かなり地域的な偏りがありますね。
今後の相続対策を検討するためにも、是非、所有地の毎年の
路線価推移など見ておくことをお奨めします。
本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。
養子にすると相続税が高くなる?
よく相続税対策で、養子縁組をすると相続税の節税ができる、などということが言われます。
それは、養子にすると養子は実子と同じ扱いになり、相続人が増えるからです。
相続人が増えることにより、基礎控除が増え、生命保険等の非課税額も増え、
さらに、法定相続分に応じた1人あたりの取得金額が減るため、累進税率である相続税率が下がるからです。
ただし、相続税の計算上カウントできる養子の数は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までとなっています。
過度な課税逃れを、防止するためです。
ただ、養子にすると必ず相続税が安くなるかというと、そうでないこともあります。
以前、相談に乗ったAさん88歳は、既に奥様を亡くし、子はいませんでした。
ご両親はとっくに亡くなっていますので、この場合は兄弟が相続人になります。
ところが、2人いる兄弟(兄と弟)も既に亡くなっています。
現在は、亡くなった奥様の弟の娘Bさんが、何かと身の回りのお世話をしてくれています。
そこでAさんは、そのBさんを養子にして財産のすべてを相続させたいと思っていました。
でも、そうすると相続税が高くなってしまうのです。
それは、Aさんの亡くなった兄弟には子がそれぞれ2人いて、Aさんが亡くなった時の相続人は、その子たち(Aさんから見れば甥や姪)4人になるのです。
相続人である兄弟が既に亡くなっている場合は、その子が代襲相続人になる、ということです。
そうすると、相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×4人ということで、5,400万円相続財産から控除して、相続税を計算することができます。
Bさんが養子になると、相続人は子であるBさん1人になりますので、相続税の基礎控除は3,600万円に減ってしまいます。
したがって、相続税が高くなるわけですね。
この場合は、養子縁組などはせずに、Bさんに遺言で財産をすべてわたしてあげた方がよい、ということになります。
相続税の基礎控除は4人分使いながら、Bさん1人が財産を取得するわけです。
ちょっと調子がいいのかも知れませんが、計算上はそのようになります。
兄弟やその代襲相続人である甥や姪には、遺留分もありませんので、その遺言に文句を付けられることはありませんので、その点も安心ですね。
編集後記
今日はこれからある方の相続税申告で、メジャーを持ってお宅へ伺ってきます。梅雨だというのに雨が降らないというのも、水不足など心配ですが、今日は簡単な測量もしてくるので、さすがに雨は降らないで欲しいですね。勝手ではありますが(笑)。
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