タワーマンション節税が否認される場合【実践!相続税対策】第203号

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皆様、おはようございます。
資産税部の高橋貴輝です。

先日(10月29日)に国税庁がタワーマンション節税について、「節税目的のタワーマンションについては、否認する可能性がある※」旨の記者発表を行いました。
 
※かなり簡単に要約しています。

さらに、全国税局についても同様の指示を出しているようです。

とは言っても、過去にも、このような否認された裁判例や裁決事例もあり、今に始まった話ではありません。

今年からの相続税の大増税に合わせて、再度注目されるようになったタワーマンション節税に対して、釘を刺したといったところでしょう。

ということで、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。

タワーマンション節税が否認される場合

前書きにも書きましたが、今回はタワーマンション節税が否認される場合について、解説していこうと思います。

その前にまずは、タワーマンション節税の仕組みについてですが、詳しい内容は第181号に書いてありますので、ご参照ください。

http://www.tm-tax.com/information/souzoku/souzoku181.html

このタワーマンション節税が否認されてしまう場合とは、一言でいうと、「節税目的のみでタワーマンションを購入した場合」ということになります。

では、その「節税目的のみ」というのはどのような場合なのでしょうか?

具体例を使って、ご説明していきたいと思います。実際にあった話で、東京国税不服審判所の裁決事例です。

被相続人甲の相続人であるAは、相続税の節税目的で約3億円のタワーマンションを購入しましたが、これを相続税評価額にすると、わずか5,800万円と、2割以下の評価額となりました。

購入の経緯等は、以下の通りです。

・ 被相続人甲は、もともと認知症であった
・ 被相続人甲は、癌が発見され、その2ヶ月後に亡くなった
・ 相続人Aは、癌の発見後わずか2ヶ月の間に、被相続人甲の定期預金を解約し、被相続人甲の名義でタワーマンションを購入した
・ 被相相続人甲は、認知症であることから、相続人Aは委任状を偽装して売買契約を行った
・ 相続人Aは、購入からわずか4ヶ月後、このタワーマンションの売却を始め、その後、2億8,500万円で売却した
・ 相続人Aは、その4ヶ月の間、このタワーマンションを使用した事実は一切なく、たまに訪れ、窓を開けたり、水を流したりする程度だった

つまり、相続開始直前に勝手に購入し、一切使用せず、すぐに売却したということですね。

その結果、3億円の定期預金の相続税評価額がわずか5,800万円の相続税評価額となり、最終的に2億8,500万円が手元に残ったということです。

ここまで条件がそろえば、さすがにこのタワーマンションの購入は、「節税目的のみ」と言わざるを得ませんね。

ということで、最終的にこのタワーマンションは相続税評価額の5,800万円ではなく、購入金額の3億円で評価されることとなり相続税が課税されてしまいました。

しかしながら、大切なことは、あくまで「節税目的のみ」の場合に否認されるということですので、ちゃんとマンションとして使用していれば、否認される心配はありません。

例えば、自宅として利用したり、投資目的で購入し賃貸に出したりなどすればいいわけですね。

そうすれば、第181号でご説明したような節税効果は、今後も享受していくことができますので、ご安心ください。

とは言っても、前書きに書いた通り、国税庁としては、タワーマンション節税について注視していく方針ですので、油断は禁物です。

また、平成8年まで、「相続開始前3年以内に購入した土地建物は購入金額で評価する」という評価方法がありましたが、この復活も含め、現在評価方法の見直しも検討されているようです。
 
(ただし、本格的な検討ではなく、あくまで当面は現行制度で対応する方針のようです。)
 
この辺りも含め、今後タワーマンション節税の動向は注目していく必要がありそうです。

いずれにしても、タワーマンションに限らず、不動産を活用した相続税の節税については、「節税目的に偏らず」、投資のメリットやリスクをしっかり勘案した上で行っていくことが大切です。

編集後記

この裁決事例は、タワーマンション節税の否認事例として非常に有名なものですが、実は、偽造された委任状の効力や重加算税についての論点で非常にハイレベルで興味深い判断がされた事例でもあります。
(今回の論点とは直接関係ありませんので、解説はまたの機会とさせていただきます。)

また、同じような事例として、東京地裁平成4年3月11日判決(平成2年(行ウ)第177号)もありますので、ご興味のある方はお調べいただくとよいかと思います。

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