遺産が未分割の場合【実践!相続税対策】第172号

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皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

4月に入ったのに本当に寒いですね...。
体調崩さないように、注意していきましょう。

 
ということで、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。

遺産が未分割の場合

相続税はご存知のとおり、相続開始(亡くなった日)のあったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告することになっています。

遺言があったり、その10ヵ月以内に遺産の分割協議が整えばいいのですが、まれに遺産分割協議が整わない、いわゆる争続になってしまうことがあります。

このような場合には、相続税の申告はどうなるのでしょうか。

基本的には未分割であっても、相続税の申告をして、納税をする必要があります。

ただ、誰が何をいくら相続をするのか決まっていないわけですから、各人の税額を計算することが基本的にはできません。

したがって、このような場合には、法定相続分で申告をして、それにそって、相続人各人が納税する必要があります。

ただし、遺産が未分割の場合は、相続税の計算上、適用できない規定があり、税負担が多くなってしまいます。

その代表的なものが、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例です。

配偶者の税額軽減は、配偶者が1.6億円あるいは法定相続分まで相続しても、相続税がかからない、という特例です。
配偶者のその後の生活等を考慮しての規定です。

また、小規模宅地等の特例は、自宅や事業用の土地などについて、生活の基盤であること等を考慮して、一定の面積まで、50%~80%という大幅な評価減をしてくれる規定です。

これらの優遇規定が使えなくなることは、相続人にとって大きな痛手です。できれば、円満に相続税の申告期限までに遺産を分割して欲しいところです。

しかし、税金を払ってでも譲れない、という感情的なものがあるので、税金よりもそちらが大事だ、ということになるのですね...

そういう場に立ち会うこともありますが、なぜそこまで...
と、本当に理解できないのですが。そうなるともう、私たちの出る幕ではなくなり、調停などへと進んでいかざるを得ません。

では、期限までに分割できないと高い税金を払ったままになるのか、というと、救済措置もあります。

未分割で相続税の申告書を提出する時に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して、提出しておくのです。

その上で、相続税の申告期限から3年以内に分割することができれば、そこから4か月以内に上記の特例を使った「更正の請求」を行うことができます。

したがって、分割見込書を必ず相続税の申告書に添付する必要があります。

それでも、3年以内に分割できなかった場合は、どうなるのか?基本的には上記の特例は受けられなくなるのですが、分割できないことにやむを得ない事情がある時は、

「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」 を提出すれば、まだ特例を受けられる可能性はあります。

ただし、これは、3年を経過した日から2ヵ月以内に申請書を提出する必要があり、かつ承認ですので、承認されない可能性もあるわけです。

未分割の場合は、これらの手続きを忘れないようにしないといけません。

いずれにせよ、10ヵ月の期限内に分割するに越したことはありませんね。10ヵ月でできなかったことは、その後に解決するのは至難の業になってきます。お金もかかってきます。
精神的にもつらいでしょう。本当によく考えて欲しいものですね。

なお、未分割の場合、預金は降ろせるのか、という問題がありますが、これは法定相続分まで払い戻し請求権があります。
これにより請求して払い戻された場合は、分割されたものとするという採決事例もありますが、長くなりますので割愛させていただきます。

編集後記

今年の3月は確定申告など本当に忙しかったですね。申告する人が増えているという気もしますが、間接的には景気がやはり少しずつ良くなっている、ということの現われかもしれません。特に株式譲渡の申告は多かったですから、個人の方がこちらの方に資金を動かし始めた、ということは私どもの事務所という小さい範囲でも感じますね。

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