法人に対して遺贈した場合【実践!相続税対策】第125号

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手

皆様、こんにちは。
資産税チームの高橋貴輝です。

先日、オバマ大統領が来日し、日米間でTPPの実務者間協議が行われました。

TPPと言えば、農作物や自動車などの関税が真っ先に思い出されますが、我々税理士業界も他人事ではありません。

弁護士、医師などもそうですが、TPPが成立すると、外国の同様の専門家も、日本国内で業務ができるようになるかも知れないからです。

実際に米韓のFTAでは、そのようになっているようです。

皆様も、ご自身の業界に意外な影響があるかもしれませんので、一度調べてみるのもよいかもしれませんね。

ということで、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。

法人に対して遺贈した場合

中小企業のオーナー社長などは、ご自身が亡くなられた際は、個人財産の一部を、会社へ遺贈(遺言書による財産の承継)したいと、考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

法的には、このようなことも十分可能なのですが、税金面では少し注意が必要となります。

今回は、このように「法人に対して遺贈した場合」の税務上の注意点について、お話していきたいと思います。

法人に対して遺贈した場合、次のような税金が課税されてしまいます。

(法人への課税)

 まず、財産を取得した会社に対する課税ですが、会社としてはタダで財産をもらっていますので、「受贈益」として法人税が課税されることになります。

(亡くなった個人への課税)

個人から法人に対して、タダで財産をあげた場合(贈与)や、タダでなくても、時価の2分の1未満の価格で財産を売却した場合は、

その個人が法人に、「時価で譲渡したものとみなして」譲渡所得税が課される、という「みなし譲渡」の取り扱いがあります。

  
たとえば、個人が時価1億円の財産をもっていた場合に、これを法人に対して贈与したり、5,000万円未満で売却したとします。

相手が個人であれば、贈与した場合は、譲渡所得税は課税されず、もらった方が贈与税を課税されます。

5,000万円未満の売却でも、相手が第三者であれば、譲渡した額に対してしか課税されません。

しかし、相手が法人の場合は、いずれも1億円で売却したものとみなして、課税されてしまうということです。

この取り扱いは、遺贈をした場合にも適用されますので、時価で売却したものとみなして、譲渡所得税が課税されるのです。
 
もう亡くなられていますので、税金を払うのは相続人ということにはなりますが。

上記の2つの課税は、当事者間に対する課税ですので、まだ理解しやすいですが、もうひとつ重大な問題があります。

それは、「他の株主に対する課税」です。

少しわかりづらいですが、以下なるべく簡単に説明します。

  
法人に対して、遺贈したということは、当然、法人が持っている財産の額は、増えることになります。
  
ということは、それに連動して、それぞれの株主が持っている株式についても、価値が上がることになります。
   
すなわち、株主も、この遺贈により得をしていることになります。

会社が利益を出して、株価が上がる場合には、なんの問題もないのですが、財産をタダでもらったことにより株価が上がった場合には、贈与税の問題が発生してくるのです...。

つまり、亡くなった個人から、他の株主に対して贈与があったものとして、贈与税がかかってくるのです。

以上が、法人に遺贈をした場合の課税問題ですが、このことを、我々の世界では、「トリプルパンチ(法人税、所得税、贈与税)」などと言って、回避すべきものと考えています。

遺言書を作成する際、専門家の指導のもと作成される場合はよいのですが、ご自身で作成された場合には、このような問題が発生してしまうことがあります。

しかしながら、亡くなられた後に、このような遺言書が見つかっても、遺産分割協議で対応が可能な場合もありますので、必ず専門家にご相談いただきたいと思います。

編集後記

今年のゴールデンウィークは、曜日の配列がいまいちですね。
 
私は、とくに大きな予定もないので、これを機にたまった家事や勉強などを片づけてしまおうと思います。

皆様のご予定はいかがでしょうか?

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