換価分割の事例【実践!相続税対策】第106号

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皆様、おはようございます。
資産税チームの高橋貴輝です。

先日、教育資金の贈与税の非課税について、信託の契約件数が4万件になった、というニュースがありました。
 
やはり1,500万円まで非課税というのは、なかなか魅力的ですので、皆さん積極的に利用されているようですね。

ただし、30歳までに使い切れない部分は課税されてしまいますので、しっかりいくらぐらい使うのかを検討した上で、利用してください。

ちなみに、1人当たり平均は、649万円だそうです。

ということで、本日も「実践!相続税対策」よろしくお願いいたします。

換価分割の事例

前々回、私が担当させていただいた第104号では、換価分割について、譲渡所得税に関する注意点の説明をさせていただきました。

その際、取得費となるのは、被相続人が取得した際の購入金額なので、先祖代々受け継いだ土地などは、取得費が少なくなってしまう、というお話をさせていただきました。

譲渡所得は、売却代金-取得費-譲渡費用で計算されますので、取得費が小さければ、当然、税金は多くなってしまいます。

今回は、20年ほど前、これをある方法で回避しようとして、裁判にまで発展した事例を、ご紹介しようと思います。

事例の概要は次の通りです。
(相続人の数や、土地の金額等は、実際の事例と異なります。)

相続人A、Bは、2億円の土地を相続しましました。
(この土地は、祖父が数十年前に100万円で取得したものです。)

A、Bは、この土地を分割することが困難なため、売却して、金銭で、1億円ずつ分割することにしました。

売却・分割の流れは、以下のとおりです。

1.Aが一度この土地すべてを相続し、登記をした。

2.その後、Aが第三者に2億円で売却した。

3.その売却代金の中から、AはBに現金1億円を支払った。

よく行われる方法かと思いますが、これだと売却金額から差し引くことができる取得費は、わずか1,000万円(概算取得費5%分)しかありません。

その結果、売却金額の大部分に、所得税が課税されることになってしまいます。

そこで、Aは売却、分割の流れを、次のように考え、そのとおりに申告をしました。(Aが勝手にしたことです。)

1.Bが土地2億円を相続する。

2.AがBから土地2億円を購入する。

3.Aが第三者に、土地を2億円で売却する。

4.その売却代金で、AがBに土地の購入代金2億円を支払う。

5.BがAに代償金として1億円支払う。

※代償金とは、Bが土地2億円を相続する代わりに、1億円を金銭で、Aに支払うというものです。

これなら、外部に売却したAの譲渡所得の申告では、取得費はBから購入した2億円とすることができます。

以上が、今回の事例ですが、結局このAの主張は認められませんでした。

なぜなら、このAが想定した売却、分割の流れは、Bとの合意ができておらず、さらに、実際にAが相続で取得したものとして、登記してしまっていたからです。

実際の登記の流れと、契約書等が違うのでは、否認されてもしょうがないですね。

ただ、皆様もお気づきかとは思いますが、Bも土地をAに売却しており、結局Bの譲渡所得の申告では、1,000万円の取得費しか控除できません。

したがって、結局は誰が譲渡所得税を支払うかの違いしか出てこない方法ということになりますね。

Aは、自分の所得税しか考えずに、実行してしまったのです。

これでは、たとえこの方法が認められたとしても、Bが怒ってしまい、大変な争続問題になってしまうのではないでしょうか。

税金とは、大まかに考えれば、誰かが節税した分は、他の誰かが支払う仕組みになっていて、結局国はしっかりと徴収できるようになっているのです。

この事例は、その事を実感できる面白い事例かと思いましたので、ご紹介させていただきました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

編集後記

世の中には、いろいろと面白いことを考える人がいるものですね。

税理士が一方の納税者(A)に肩入れして、この方法をおすすめすることは、なかなか考えづらいと思いますので、おそらく納税者自身が考えたのではないかなと思います。

頭は良いのかも知れませんが、ちょっと抜けているような気がしますね。

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