相続税の取得費加算(2)【不動産・税金相談室】

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Planning

Q 前回、『相続税の取得費加算』のお話がありましたが、この特例を適用する場合、どのような点に注意したらよろしいでしょうか?

A 前回のメルマガの最後に、

5/10号と5/24号で「相続税の取得費加算」のお話をします。
  
とご案内いたしましたが、予定を変更し今週号と来週号あわせて3週連続で、「相続税の取得費加算」のお話をさせていただくことになりました。
よろしくお願いいたします。

それでは、早速本題に移らせていただきます。

まず、前回では適用を受けるための要件と、計算方法について簡単な事例を使ってご説明しましたが、計算方法の算式を公式の形で示すと以下のとおりでした。

(1) 譲渡資産が土地等の場合

相続税額×すべての土地等/相続財産

(2) 譲渡資産が土地等以外の場合

相続税額×譲渡した資産/相続財産

このうち、(1)の場合は、譲渡していないものも含めたすべての土地等がが対象となるので、かなり優遇されていますが、この取り扱いの廃止も検討されている。

というところまで、お話ししました。

今回は、この「相続税の取得費加算」を受ける場合に、特に注意しなければならない点について、お話していきたいと思います。

その1つの注意点は、

「相続の年の翌年3月15日までに、相続税の申告書を提出しないと、取得費加算の適用を受けられないことがある・・・」

ということです。

どういうことかというと、

たとえば、平成25年8月1日に相続があった場合に、相続で取得した財産を、平成25年中に売却した場合には、

所得税の確定申告書の提出期限である平成26年3月15日までに、相続税の申告書を提出していなければならない、ということです。

「なるほど。要するに相続税の申告書を早めに提出すればいいんだな。」
  
と思った方もいらっしゃるかと思います。

確かにその通りなのですが、よーく考えてみると、この場合困ったことが1つあります。

相続税の申告書の提出期限は、亡くなってから10ヶ月後でした。
  
そうすると、8月1日に亡くなった場合は、申告期限は翌年6月1日ですから、
翌年3月15日までに相続税の申告書を提出していない、ということも考えられます。

しかし、これでは「相続税の取得費加算」の適用が受けられません。
早く提出しなかったのが悪いのでしょうか?
  
そんなことはありません。

相続税の額が確定していなければ、「相続税の取得費加算」の計算ができないからです。

言ってみれば、当たり前のことですね。

ただ、法律で認められた期間内に、相続税の申告書を提出した人が、この適用を受けられないというのは、やはり不公平です。

そんな場合には、ちょっと手間がかかりますが、次のような方法があります。

ア.相続税の取得費加算の適用を受けずに、所得税の確定申告書を提出する

イ.その後、相続税の申告書を提出する

ウ.改めて所得税で相続税の取得費加算の適用を受け、5年以内に更正をしてもらい、納めすぎた所得税を還付してもらう

とはいっても、ここまでしなくても、相続税の申告書の提出が、平成26年3月15日以降になってしまうのであれば、売却も平成26年以降に遅らせればいいのです。

相続税の納税にも問題はないので、基本的には、そのように対処していただければと思います。
  

次々回5/10号では、この取得費加算について、少し不思議なお話をしていこうと思います。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。