不動産 税金相談室
土地の造成費や改良費は、控除できない?【不動産・税金相談室】
2017.09.15
Q 以前相続で取得していた土地を売るために、造成や地盤改良などの工事を行いました。土地の取得費は、実際の取得費を引き継ぐということですが、代々の土地なので、まったく分かりません。
このような場合は、売却価額の5%を概算取得費とすることができる、とのことです。
ただ、この概算取得費を使った場合は、土地の造成費や改良費は、譲渡所得の金額の計算上、控除することができないと聞いたのですが、本当にそうなのでしょうか?
A 土地の造成費や改良費は、土地の取得費に算入されることになります。
ご質問にもありますように、実際の取得費が不明の場合には、概算取得費を使うことができます。
あるいは、実際の取得費がわかっていたとしても、納税者の選択によって、概算取得費を選択することもできます。
造成費や改良費は、実際の取得費ですので、この造成費や改良費を取得費とするのであれば、概算取得費は使えなくなります。
また、概算取得費を使うのであれば、造成費や改良費を取得費とすることはできなくなります。すなわち、造成費や改良費は譲渡所得から控除することができない、ということになります。
国税庁のホームページにある「譲渡所得申告のチェックシート」にも、
「取得費について、概算取得費(譲渡価額×5%)を適用した場合、登記費用、 造成費、改良費等を取得費又は譲渡費用に含めていませんか。」
(注)概算取得費を適用した場合は、登記費用、造成費、改良費等は算入できません。というチェック項目があるくらいです。
売るためにかけた費用なのに、譲渡所得から控除できないなんて、おかしいと思いますね。
実はこのようなケースが、以前、私の行った譲渡所得の申告でもあり、この造成費や改良費を控除していたところ、「税務署から控除できないのでは?」という問合せがありました。
あくまで売るために改良をしたのだから、譲渡費用として控除してよいのではないか、という反論をしました。
その証拠として、売買契約書の特約事項に、土地の改良を売主の負担で行うことが条件として書かれている旨を説明しました。
結果的にはそれが認められ、取得費は概算取得費で、土地の改良費は譲渡費用として控除する申告が認められました。
土地の造成や改良が、売るためではなく、ずいぶん前に行われている場合は取得費になるのでしょうが、売るために行うのであれば、譲渡費用として認められる余地がある、ということですね。
そのためには、是非、売買契約書の特約条項などに、その条件を記載しておくことが重要かと思います。
《担当:北岡》
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