遺言執行費用の取扱い【不動産・税金相談室】

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Q 独身の兄が亡くなり、生前、兄の身の回りのお世話をしていた私が財産のすべてを相続することとなりました。

法定相続人となる他の兄弟もいることから、生前に遺言書を遺していたようで、遺言執行人に指定されていた弁護士の方に、手続きを済ませていただき、遺言執行費用を支払いました。

この費用は、相続税の計算上「債務控除」することはできますか。

また、相続した不動産を売却する予定ですが、遺言執行費用を売却にかかる経費とすることは可能でしょうか。

A ご質問の遺言執行費用については、相続税計算上の「債務控除」あるいは譲渡所得税計算上の「経費」のいずれにも該当しないと考えられます。

そもそも、相続税における債務控除とは「亡くなった方(被相続人)の債務」で、「亡くなった時点で存在しているもの」をいい、たとえば未払いの入院費用や、固定資産税等の税金、借入金などが該当します。

これに対し、遺言執行費用は亡くなった後に発生する費用であり、遺言執行人と相続人との委任契約によるものと考えられるため、被相続人ではなく、相続人が負担すべきものとされています。

したがって、被相続人の債務とは考えられず、債務控除が認められていないのです。

それでは、遺言により取得した資産を売却した場合には、その遺言執行費用は不動産所得の計算上、経費(取得費や譲渡費用)に含めることができるのでしょうか。

この場合、遺言執行費用は資産を取得するための費用の一部であったり、売却するための費用の一部とは考えず、遺言を執行するための「家事的な支出」とされています。

つまり、生活費や個人的な支出と同様に取扱われるため、取得費や譲渡費用に含まれないこととなるわけです。

同様に、相続人間で争いがあった場合に生じる係争費用や、弁護士費用についても、取得費・譲渡費用には含まれません。

一方、相続に伴って発生した登記費用(登録免許税等)については、その登記した資産を売却した場合、取得費に含めることが可能です。

また、相続開始の日の翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、相続により取得した資産を売却した場合には、納付した相続税のうち、その売却した資産に対応する部分について取得費に加算する特例が設けられています(取得費加算の特例)。

このように、相続により発生した様々な経費について、すべての経費が、相続税の債務控除、あるいは、譲渡所得税の経費の計算に含まれるとは限りませんので、ご留意いただきたいと思います。

《担当:樋口》

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