相続後、親の自宅を売却する場合【不動産・税金相談室】

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Q 母親が本年亡くなり、兄弟3人で現在、遺産分割の話をしております。
母親は、亡き父から相続した約50坪の敷地の1軒家に、ひとりで住んでいました。財産はその自宅の他は、預金が数百万円あるのみです。

建物は昭和40年代に建てたもので、価値はありませんが、土地は相続税評価で約7,000万円、時価は9,000万円以上になるとのことです。

兄弟の内、2人は自宅を所有しており、もう1人は勤務地が地方であるためそちらで社宅に住んでいます。したがって、自宅は今後誰も住む予定がないため、共有で相続した上で売却して、各自現金を取得する予定です。

相続税や所得税がかかることになると思いますが、これらをできるだけ抑えるためには、どのように相続したらよいでしょうか?

A 相続人が3人ですと、相続税の基礎控除は4,800万円であり、土地だけで相続税評価が7,000万円ということは、相続税がかかることになってきます。

ただし、居住用の宅地については、小規模宅地等の特例があり、要件を満たせば、330m2まで80%評価減をすることができます。
そうなると、土地の評価額は1,400万円となり、預金を合わせても基礎控除には満たないため、相続税はかからないことになります。

この小規模宅地等の特例が使えるかどうかですが、同居している相続人はいないとのことで、この場合は俗に「家なき子」と呼ばれる条件に当てはまる人が相続すれば、小規模宅地等の特例を使うことができます。

相続人の1人が社宅住まいということで、相続前3年間自己または自己の配偶者の持ち家に住んでいなければ、家なき子に該当します。
したがって、その相続人が母親の自宅土地建物を相続し、相続税の申告期限まで所有していれば、小規模宅地等の特例を使うことができます。

ただし、これだけでは、相続後売却した時の収入は、すべてその自宅土地建物を相続した相続人のものとなってしまいます。
そこで、その相続人は自宅土地建物を相続する代わりに、他の兄弟2人に対して代償金を支払う、という代償分割を行うことを提案します。

この代償分割により、自宅を取得した相続人は、自宅土地建物の売却代金から、他の兄弟2人に代償金として、現金を支払うことができます。
これは相続による遺産分割の一環としての行為ですので、贈与税がかかるということもありません。

もちろん、譲渡ですので、譲渡所得税はかかります。この譲渡所得税も考慮した上で、代償金をいくらにするのかを、決める必要があります。

なお、平成28年度税制改正で、空き家の3,000万円控除の特例が創設されました。これは、相続後、空き家である被相続人の自宅を売却した場合には、売却益から3,000万円を控除できる、という特例です。

この特例を受けられるのは、相続前に被相続人がひとりで住んでいたこと、相続後に誰も住まずに空き家になっていること、譲渡価額が1億円以下であること、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること、などの要件があります。

また、売却する前に耐震基準に適合したリフォームをすること、耐震工事をしない場合は、建物を取壊して更地で売却することなどが必要です。

この要件にも当てはまりそうなので、是非、検討の上、特例の対象となるように売却すると良いと思います。

《担当:北岡》

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