不動産 税金相談室
共有する土地の小規模宅地等の特例について【不動産・税金相談室】
2017.03.10
Q 昨年、父が亡くなりましたが、土地を評価するにあたって、小規模宅地等の特例の計算について質問します。
父は、自宅土地を母と共有で所有していました。父の持分が100分の80で、母の持分は100分の20です。
土地の上には、父と母の自宅と、アパートがあります。土地は共有ですが、建物はいずれも父が所有しておりました。
敷地面積は全体で300m2であり、自宅部分が200m2、アパート部分が100m2です。
今回、母が相続することとなった場合、小規模宅地等の特例について、居住用と貸付事業用の適用対象の面積は、どのように計算するのでしょうか。
A 小規模宅地等の特例は、自宅=居住用の土地については、330m2まで80%評価減、アパート=貸付事業用の土地については、200m2まで50%評価減できる、という特例です。
共有になっている場合、しかも居住用と貸付事業用がある場合、その適用面積がどうなるのかは、非常に戸惑うところです。
共有についての一般的な考え方は、共有者のその土地に有する権利は、その土地のすべてに均等におよぶ、とされています。
したがって、ご質問の場合は、この土地に係るお父様の共有持分は、自宅部分とアパート部分の土地に、均等におよんでいると考えます。
そこで、どのように計算するかですが、まずは全体の敷地に対して、お父様の持分がどのくらいかを計算し、次に居住用と貸付用の割合を乗じます。
計算式で表すと次のとおりです。
居住用建物の敷地部分 300m2×80/100(持分)×200m2/300m2(利用区分)= 160m2
貸付用建物の敷地部分 300m2×80/100(持分)×100m2/300m2(利用区分)=80m2
上記のとおり、お父様の共有持分に相当する240m2のうち、自宅=居住用の敷地部分が160m2、アパート=貸付事業用の敷地部分が80m2、ということになります。
なお、小規模宅地等の特例の適用にあたっては、居住用と貸付事業用の合計での面積制限がありますので、ご注意ください。
ご質問の場合は、次の計算式のとおり、限度面積内に入っていますので、居住用敷地については80%評価減、貸付用敷地については50%評価減がすべて使えることになります。
居住用160m2×200/300+貸付用80m2= 176.96m2≦200m2
以上、共有の場合で、複数の利用形態がある場合は、敷地面積の区分には十分ご注意ください。
《担当:宮田》
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