譲渡担保に係る借入金がある場合の相続税の課税関係について【不動産・税金相談室】

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土地建物所有者

Q 父は生前、金融機関から事業資金を借り入れるために、担保として所有する不動産の所有権を、金融機関に移しました。借入金の返済が完了した後に、その担保不動産の所有権が戻ることになっています。借入金の返済が完了する前に、父に相続が発生した場合、相続税の計算上はどのような取扱いになるのでしょうか?

A 今回のケースは、譲渡担保による金融機関からの借り入れの話しになります。

譲渡担保とは、不動産等の所有権を金融機関に移転登記はさせますが、その不動産等自体は、債務者である父が使用できるという形の担保方法です。

借入金の返済が完了したら、その不動産の所有権は元に戻ります。

借入金の返済が完了していない時点で、相続が発生した場合の相続税の課税関係は、以下のようになります。

まず、担保として所有権を移転させた不動産の取扱いですが、登記簿上は、所有権が金融機関に移っています。

そうなると、相続税の計算上、相続財産にならないように思われがちですが、実際にその不動産を使用しているのは、債務者であるお父様です。

相続税の課税については、その実質に着目し、実際に不動産を使用しているお父様の相続財産と捉えることになります。

したがって、譲渡担保の目的となっている不動産については、その価額を相続税の計算上、課税価格に算入する必要があります。

もちろん、相続税の課税価格に算入する金額は、相続税評価額となりますので、宅地であれば路線価方式または倍率方式で計算した金額となります。

また、金融機関からの借入金ですが、相続開始時点で確実な債務であるため、相続発生時の借入金残高については、債務控除を行うことができます。

なお、今回のご質問内容とは関係がありませんが、参考までに逆のケースの課税関係を見ておきたいと思います。

それは、たとえばお父様が資金を貸し付けた際に、不動産の譲渡担保の提供を受けた場合です。

この場合には、相続発生時における貸付金残高を、相続税の課税価格に算入するだけとなります。担保提供を受けた不動産は、相続税の課税価格には算入しません。ここでもやはり、実質的に見るということですね。

《担当:利根川》

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