前受家賃と債務控除について【不動産・税金相談室】

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相続

Q 個人事業主としてアパート経営をしていた父が、5月15日に亡くなりました。
賃貸借契約書において、家賃の支払期日は、当月分の家賃を前月末日と定めています。

5月15日までの本年分の申告(準確定申告)においては、4月30日に入金があった5月分家賃について、5月16日以降に対応する部分を前受家賃としており、収入には計上していません。
この前受家賃は、相続税の計算上、預り金として債務控除できますか?
 

A まずは、賃貸借契約書において、当月分の家賃を前月末日までに支払う約定になっていますので、5月分の家賃は4月30日に支払義務は確定していることになります。

準確定申告においても、不動産収入の計上について、賃貸借契約書等に定める支払日基準で計上していくことが多いと思います。
  
例外的に、一定の条件のもと、貸付期間に対応する部分の金額を収益計上することも認められています。

今回は後者のケースで、5月1日から相続開始があった5月15日までの分を不動産収入に計上し、相続開始後の5月16日から5月31日までの部分は、前受家賃として負債に計上していた、ということになります。

準確定申告書上、負債として計上されているので、相続税の計算においても債務控除できるのではないかと考えるのは、ごく普通の流れだと思います。

ただし、相続税の計算上、債務控除を行えるのは、相続開始の日にあった債務で、確実と認められるものに限られます。
 
大家側からすると、既に5月分の家賃をもらっているため、相続開始日の翌日である5月16日以降についても、債務を負っていると考えがちです。
決算書上、負債項目として記載もされていますので。

しかし、債務を負っているとすれば、部屋を引き続き使用させる義務だけであって、5月16日以降の未経過分の家賃を返金する義務などありません。

よって、相続開始日において、賃借人に対する具体的な債務は存在していないことになりますので、前受分の家賃については、相続税の計算上、債務控 除を行うことはできません。

《担当:利根川》

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